1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長戸 康郎 東北大学, 農学部, 助教授 (10143413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 元吉 東北大学, 農学部, 教授 (90134501)
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Keywords | 胚発生 / 器官分化 / 胚培養 / 突然変異 |
Research Abstract |
昨年度イネ幼胚の培養を試み、MS基本培地とカイネチンの組合せにより胚長約180μmの胚の培養が可能となった。本年度は、更に小さい胚の培養を試みた。2.4-Dを含むMS培地で継代しているOccell lineをナースとして含むMSアガロース培地で2〜3日培養後、Occellを含まない培地に移植することにより、約100μmの胚の培養、出芽が可能となった。また50μm程度の胚の場合には、カルス化はできるが出芽は見られなかった。 胚発生における1遺伝子座劣性の器官分化突然異系統は本年度も含め28系統得られた。本年度はそれらの発生学的特徴を明らかにした。その結果、器官分化の開始に係わる遺伝子、幼芽の分化開始に係わる遺伝子、幼芽の形態を制御する遺伝子、幼芽、幼根の分化位置の制御に係わる遺伝子、胚の大きさを制御する遺伝子など器官分化に係わる様々な遺伝子の存在が明らかになった。また胚発生での器官分化とカルスからの再分化における器官分化を比較するために、shootの形態異常を示す系統の種子由来カルスからの再分化を試みた。再分化したshootは種子発芽したshootと同じ形態異常を示した。このことは、胚発生での幼芽の形態を制御する遺伝子がカルスからのshootの再分化においても発現することを示している。次に、完成種子で球状のまま発育停止している胚や、大きくなるが器官分化のない胚をもつ系統が致死突然変異によるものであるかどうかを確めるために、浸種後5日目の胚のglutamate dehydrogenase活性を調べた。供試した8系統中6系統において浸種後5日目でも酵素活性が認められた。恐らく、器官分化しないまま休眠し、吸水後再び酵素活性を持つようになったものと思われる。
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