Research Abstract |
4月下旬に, 生体重約200gの食用カンナ根茎を株間50cm,畝間1mとして圃場に定植し, 11月中旬の降霜期まで栽培を行なった(栽培面積は約4アール). 栽培期間中8回にわたりサンプリングを行ない, 生育調査の後, 80℃にて通風乾燥をして乾物重を求めた. また, サンプリング前日の午後に食用カンナ個体群の層別の光分布を調査し, 吸光係数を求めた. さらに, 9月上旬の生育最盛期に, 緬羊を用いて茎葉の飼料価値検定試験を行なった. 得られた結果の概要は以下の通りである. 1)食用カンナは5月上旬に出葉するが, 7月中旬の昇温期まで生育は緩慢である. 7月下旬から急激に生長し, 8月下旬には草高約2.7m,葉面積指数約12に及び, バナナ畑のような状態を呈した. 8月下旬から下葉の枯死が認められたが, 一般に葉は極めて長命である. 収量をみると, バイオマスとしてヘクタール当り40トン, デンプンを採る根茎は17トンの乾物重となり, 極めて高い生産力を有することがわかった. 2)この主因は高い草丈と, 長大な葉にも拘らずその抽出角度が小さく, 群落内への光の分布が均質なことに帰せられる(生育盛期の吸光係数は0.35〜0.4). 3)全乾物重の約6割を茎葉部が占め, 収穫指数は低いが, 茎や葉は飼料として有効であった. すなわち, 体重約45kgの緬羊に, 食塩と水を除き一切の食餌を食用カンナ茎葉のみ(生のまま)で与えたところ, 1日当り5.5Kgの摂食で体重が維持され, 飽食値は6.5Kgであった. 4)このように, 食用カンナはバイオマス生産力が非常に高く, かつ食用, 飼料の両面で利用が可能な極めて有用な未利用資源植物であるが, 土壌からの養分収奪力も相当大きく(ヘクタール当リ273Kgの窒素を吸収), 施肥菅理の重要さが認識された.
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