1989 Fiscal Year Annual Research Report
果菜類の接ぎ木栽培における台木の生理機能と成長制御
Project/Area Number |
62480037
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Research Institution | Faculty of Horticulture, Chiba University |
Principal Investigator |
伊東 正 千葉大学, 園芸学部, 教授 (80009323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 清 千葉大学, 園芸学部, 教授 (30040819)
丸尾 達 千葉大学, 園芸学部, 助手 (20143266)
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Keywords | キュウリ / 接ぎ木植物 / 養分吸収特性 / 光合成速度 / 対高温性 |
Research Abstract |
最終年度である本年度は、 1.実際栽培において、環境条件を変えて生育、収量を検討し、特に 2.高温期における、台木種類と培養液濃度が、キュウリの無機養分吸収ならびに収量に及ぼす影響について検討した。 試験1は、2月14日播種の土耕栽培で、穂木に王金女神2号、台木にフィシフォリア、新土佐を用い、施肥量を2水準とした。試験IIは、7月27日播種の土耕栽培で、穂木にシャ-プ1、台木に新土佐、フイシフォリアを用い、潅水量を3水準とした。試験IIIは、7月25日播種のロックウ-ル栽培とし、穂木にシャ-プ1、台木に新土佐、フイシフォリア、輝虎の3種を用い、無継ぎ木も加えて4種類とした。また、定植20日後から培養液濃度を2水準変え、台木種類と組合せ計8区とした。 試験1では、フィシフォリア台が、新土佐台より、旺盛な生育、収量を示し、全収量は1/2追肥区で最も高かった。定植が低温期であるため、フィシフォリア台の生育は順調であったが、標準、2倍区では肥料吸収量が過多となり、過繁茂となり、収量が低下したものと推定した。 試験IIでは、新土佐台の生育、収量が著しく勝り、潅水量の増加とともに生育量は増加したが、フィシフォリア台では生育が劣り、潅水に対する反応が殆どなかった。本試験は夏季の高温期に行ったため、高温期で生理活性の優れた新土佐台が環境に敏感に反応したものと考えられた。 試験IIIでは、フィシフォリア台で著しい生育の遅延がみられ、無接ぎ木、新土佐台の生育が優れ、輝虎台では、中間的な生育を示した。この傾向は、特に高温期である生育初期に顕著で、温度の低下に伴い、フィシフォリア台の生育速度も増加した。生育の良かった無接ぎ木区では、高培養液濃度で、生育はさらに促進された。本試験の結果は、試験IIの結果とよく一致し、台木の対高温特性が光合成、無機成分吸収特性等に影響を及ぼし、それらが生育、収量に反映したと考察した。
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