1988 Fiscal Year Annual Research Report
植物レオウイルスの虫媒性に関与する遺伝子の分子生物学的解析
Project/Area Number |
62480042
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 一郎 北海道大学, 農学部, 助教授 (10113523)
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Keywords | 植物レオウイルス / イネ萎縮ウイルス / イネ黒条萎縮ウイルス / ゲノム構造 / 塩基配列 / イネラギッドスタントウイルス |
Research Abstract |
昭和63年度は以下の実験を行なった。 1)イネ萎縮ウィルスS9の全塩基配列をcDNAクローンより決定した。 2)イネ黒条萎縮ウィルスのゲノムRNAよりcDNAクローンを用いてS10の全塩基配列を決定した。 3)イネ萎縮ウィルス3'末端領域の塩基配列をS1〜S12全てのゲノムセグメントについて決定し、更に5'末端についてS3〜S12の塩基配列を決定した。 4)イネラギッドスタントウイルスのS9の全塩基配列は、既に決定したがその配列をもとにして合成DNAプライマーを作成し、ジデオキシ伸長反応法で5'末端のキャップ構造の存在を明らかにした。 以上の結果をもとにして下記の結論を得た。 1)イネ萎縮ウイルスの両末端には、数塩基にわたる逆向きの繰返し配列が存在しており、この構造がウイルスの複製に重要であろうと思われた。同様の構造は、イネ黒条萎縮ウイルスS10やイネラギッドスタントウイルスS9にも存在していた。 2)イネ萎縮ウイルスの5'末端には5'GGUAAA…又はGGCAAAの、更に3'末端には…UGAU3'又は…CGAUの共通保存配列を見出した。これらの配列は、同一グループに属するwound tumor virusの共通保存配列であり、両ウイルスの近縁関係が分子レベルで初めて明らかとなった。またイネ黒条萎縮ウイルスやイネラギッドスタントウイルスの塩基配列の決定結果から予想される共通保存配列とは明らかに異なっており、植物レオウイルスの3つのグループ間で末端構造は、異なっており、グループ内では同じか類似であろうと思われた。
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[Publications] Matsumura,T./Uyeda,I./Sano,T./Shikata,E.: Memoir Fac.Agr.Hokkaido Univ.16. 194-198 (1988)
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[Publications] Matsumura,T./Uyeda,I./Shikata,E.: Memoir Fac.Agr.Hokkaido Univ.16. 199-204 (1988)
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[Publications] Matsumura,T./Uyeda,I./Sano,T./Shikata,E.: Memoir Fac.Agr.Hokkaido Univ.16. 205-211 (1988)
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[Publications] Uyeda,I./Kudo,H./Takahashi,T./Sano,T./Ohshima,K./Matsumura,T./Shikata,E.: J.gen.Virol. 70. (1989)