1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480047
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 興亜 名古屋大学, 農学部, 助教授 (50023411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沼 利信 名古屋大学, 農学部, 助手 (60135332)
小林 迪弘 名古屋大学, 農学部, 助手 (60111837)
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Keywords | カイコ / 卵特異タンパク質 / セリンクラスター / プロテアーゼ / 胚発生 |
Research Abstract |
家蚕の卵特異タンパク質のcDNAは昨年度の研究においてすでに作成した。このcDNAのヌクレオチド配列の1部についてはまだ分析されていなかったので、本年度はまず全ヌクレオチド配列の決定を行った。この配列をもとにしてアミノ酸配列も決定した。ヌクレオチド配列においては、すでに他の多くのタンパク質cDNAで認められているコンセンサス配列が存在していた。アミノ酸配列においては糖鎖結合配列、亜鉛結合ドメイン、セリンクラスターが認められた。これまで無脊椎動物の卵黄タンパク質にはセリンクラスターの存在は知られていなく、本研究が始めてである。本年度はこのcDNAをプローブにして、卵特異タンパク質遺伝子のクローニングをカイコ遺伝子ライブラリーを作成して行った。これまでに4つのクローンを得、それぞれのフィジカルマップを作成した。またヌクレオチド配列を決めているが、5′末端の上流域についてはまだ解明されていない。 卵特異タンパク質のポストトランスレーショナルプロセシングについての研究も本年度完成させた。特に亜鉛結合ドメインとの関係で、亜鉛の同定を行い、分子あたり1分子の亜鉛が結合していることが判明した。 胚発生にともなう卵特異タンパク質の分解利用は本タンパク質を特異的な基質とするプロテアーゼによって起る。このプロテアーゼの活性調節が酵素タンパク質の生合成によっていることを、無細胞翻訳系を用いて証明した。つまりmRNA活性はプロテアーゼ活性の消長パターンと一致し変動した。この研究の過程でプライマリの翻訳産物がすでにプロテアーゼ活性をすでに有していることが発見された。多くのプロテアーゼは分子修飾を経たのちに酵素活性を示すようになるのであるが、本プロテアーゼはチモーゲンの状態ですでに生物活性を有しているのである。この結果はプロテアーゼの生理作用についての新知見を与えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Indrasith,L.S.;Sasaki,T.;Yamashita,O.: Journal of Biological Chemistry. 263. 1045-1051 (1988)
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[Publications] Indrasith,L.S.;Sasaki,T.;Yaginuma,T.;Yamashita,O.: Journal of Comparative Physiology. 158B. 1-7 (1988)
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[Publications] Indrasith,L.S.;Izuhara,M.;Kobayashi,M.;Yamashita,O.: Archives Biochemistry and Biophysics.267. 328-333 (1988)
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[Publications] Yamashita,O.;Indrasith,L.S.: Development,Grwoth and Differentiation. 30. 337-346 (1988)
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[Publications] Inagaki,S.;Yamashita,O.: Archives Insect Biochemistry and Physiology. 10. (1989)
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[Publications] Sato,H.;Yamashita,O.: Insect Biochemistry. 19. (1989)