Research Abstract |
本学のガラス室に2階建茶樹水耕ミニプラント4台を設置し,以下の成果を得た. 1.茶樹の生育,養分吸収を上下段で比較検討した. 下段の生育は上段の約60%であった. 全窒素含有率は上,下段であまり変らず,下段ではNを欠除させてもほとんど含有率が低下せず,栄養状態に影響されにくかった. 2.散水式水耕システムにおいての水耕液の供給一休止時間と茶樹の生育,養分吸収との関係を検討した. 時間設定は15ー15分(対照),10ー20分,10ー35分,昼15ー15分液15ー35分の4処理で比較した. その結果,茶樹の生育は10ー35分区および昼15ー15分夜10ー35分区で優れた. またそれらの養分吸収はNとAlで差が認められず,10ー35分区はP,K,sa,Mgの含有率,吸収量共に他の3処理区より高かった. したがって,茶樹の生育,養分吸収の両面から,10ー35分供給一休止処理が生理的にも省エネ的にも好適条件であることが分った. 3.一般に,茶樹の生育はもとよりアミノ酸生成も春期で旺盛である. したがってこの春期条件を常に保つことが水耕茶樹で必要と考えられる. そこで養液温度を10,15,20,25℃に制御し,散水式で与えた. その結果,茶樹新芽の生長は25°で最も良好であったが,根のそれは20°であった. アミノ酸,特に根のテアニン含有率は25°で最も高かったが, 生成量は20°,25°で良好であった. 4.以前,茶樹の土耕で花芽形成とCa施用との間に関連性が観察されたので,栄養生長のみを促進させ,花成を抑えるため,水耕下でCaを0〜120ppmまで与え,19週間栽培し検討した. その結果,花成とCaの関連性は認められなかった. これは生育期間が短かすぎたためと推察された. 5.1987年愛知県に建設されたA茶植物工場における茶樹の栄養生理的問題を検討した. その結果,N含量が新芽で6%以上の高含量を維持した. またNH_3ーNの吸収が極端に旺盛なことも分った. これらのことから,チャ植物工場で高品質茶生産の可能なことが示唆された.
|