1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480055
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 研三 名古屋大学, 農学部, 助教授 (80164292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
旭 正 名古屋大学, 農学部, 教授 (10023392)
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Keywords | 植物ミトコンドリア / F_1F_0ATPase / ミトコンドリア遺伝子 / 植物遺伝子 / ミトコンドリアへのタンパク質輸送 |
Research Abstract |
植物ミトコンドリアのエネルギー産生F_1F_0ATPaseを構成するサブユニットのうち、ミトコンドリアDNAにコードされたF_1αおよびF_09サブユニットの遺伝子が、ゲノム中で互いにhead-to-headで隣接して存在することを明らかにしていたが、この領域の全転写地図の作成によって、いずれの遺伝子も主に5′末端位置の異なる複数のmRNAが存在することをが明らかになった。更に、これらmRNA分子種のin vitro capping実験によって、5′末端の異なるmRNAは複数のプロモータ部位からの転写開始によるものであることが強く示唆された。 我々が新たに開発したcDNAクローニング用の発現ベクターpNVT6を用いて、サツマイモ塊根cDNAライブラリーを作成し、F_18サブユニットのN末端アミノ酸配列に基づいて合成したDNAプローブでスクリーニングすることにより、構造の僅かに異なる2種の全鎖長cDNAを同定した。その一つpFIDBは1035bpのcDNAを持ち、その全塩基配列の決定から244アミノ酸よりなるF_18前駆体をコードしていた。前駆体アミノ酸配列の46番目以降に成熟型のN末端アミノ酸配列が現われることから、前駆体N末端の45アミノ酸がミトコンドリアへの移行に関与するプレ配列であろうと考えられた。成熟型領域のアミノ酸配列は、ホウレンソウのCF_18と24%の、ウシミトコンドリアのOSCPと36%の相同性を示したが、N末端プレ配列には一次構造上の相同性は見られなかった。しかし、プレ配列は塩基性アミノ酸、SerやThrに富み、また両親媒性のαヘリックス構造を作りうるという、他生物種ミトコンドリアタンパク質のプレ配列と共通の構造的特徴を示した。葉緑体タンパク質のトランジットペプチドでは、両親媒性ヘリックス構造をとるとは考えにくく、こうした違いが2つのオルガネラへのタンパク質の特異的輸送に重要であろうと推定した。
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[Publications] Morikami,A.;Nakamura,K.: J.Biochem.101. 967-976 (1987)
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[Publications] Morikami,A.;Nakamura,K.: Nucleic Acids Res.15. 4962 (1987)
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[Publications] Kimura,T.;Nakamura,K.;Kajiura,H.;Hattori,H.;Nelson,N.;Asahi,T.: J.Biol.Chem.264. (1989)
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[Publications] Asahi,T.;Maeshima,M.;Nakagawa,T.;Kobayashi,K.;Iwasaki,Y.;Nakamura,K.: "Plant Mitochondria;Structural,Functional and Physiological Aspects." Moore,A.L.and Beechey,R.B.,eds.,Plenum Publishing Co.,New York., 414 (1987)