1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480067
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 裕哉 北海道大学, 水産学部, 教授 (70001576)
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Keywords | 硬骨魚 / 精巣 / 自己免疫 / 精子凝集抗体 / 血液精巣関門 |
Research Abstract |
1.キンギョはFCA懸濁精巣磨砕物投与に対する耐性が低く、死亡率が著しく高かったため、精巣における自己免疫反応の型を特定するに至らなかった。投与量、投与方法などの再検討が必要とされた。 2.血液精巣関門の成立期確定のためナイルテラピアの精子変態週程の電顕的解析を行い、精細胞の成熟過程を6期に区分できた。またこの過程での核クロマチンの凝縮が分離された球塊へと進行し、それらの球塊の密集により精子頭部が形成されるという独特の型が明らかにされた。 3.テラピアの正常雄に注射したトレーサー蛋白の精巣内分布の電顕的解析により、内腔壁を構成するセルトリ細胞同士の接着装置に加えて、精小嚢外周の基底膜もおそらくは荷電選択性の血液精巣関門として働くと示唆された。また閉鎖体を主体とする血液精巣関門はクロマチン凝縮中期の精細胞包嚢で確立された。免疫化1か月後の魚の精巣ではトレーサー蛋白が全ての発達段階の生殖細胞包嚢内へ、さらには精小嚢及び輸精小管の内腔へと侵入した。免疫化後の血液精巣関門の崩壊は電顕観察によっても確認された。 4.免疫化後17日のテラピアの精液中に精子凝集因子が存在することをつきとめその単離精製を行った結果、それが分子量760,000の4量体蛋白で、種特異性の高いテラピアIgMであることを確かめた。 5.以上の結果から、精巣物質に対する自己免疫反応の成立過程においては先ず処理魚の血清中に精子凝集中に精子凝集能を持つ抗体分子が出現し、次いで透過性関門としての血液精巣関門が何らかの機序により破壊されて体液内の免疫分子が精小嚢内腔へと漏出し、その分子のあるものが精子を凝集させると共に精子表面の自己抗原と結合して免疫細胞への認識信号を生産し、その信号を受けた免疫細胞が血液精巣関門を物理的に破壊して最終的に精小嚢内腔へと侵入すると仮定された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 〓亜歓: 北海道大学水産学部研究嚢報. 38. 14-26 (1987)
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[Publications] 〓亜歓: 北海道大学水産学部研究嚢報. 39. 201-209 (1988)
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[Publications] 〓亜歓: Journal of Morpholygy.
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[Publications] 〓亜歓: Cell and Tissue Research.