1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 礼次郎 東京大学, 農学部, 教授 (20011819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 武比古 北里大学, 水産学部, 助教授 (00104521)
石丸 隆 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90114371)
福代 康夫 東京大学, 農学部, 助手 (10165318)
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Keywords | 渦鞭毛藻 / シスト / プロトゴニオラックス / 休眠 |
Research Abstract |
岩手県大船渡湾と和歌山県田辺湾で渦鞭毛藻Protogonyaulaxの発生した5〜8月に海中にトラップを垂下することにより,P.tamarensisとP.catenellaのシストを多量に採集することができた. この両種のシストの発芽能力の獲得時期を培養実験により調べた結果,前者は能力獲得まで数ヶ月間の休眠期間を有するのに対し,後者は休眠期間が明らかでなく,形成後直ちに発芽可能となることがわかった. 6月21日に大船渡湾で採集したシスト及びそのシストから得られた培養株の栄養細胞とテンポラリーシストを材料として,通常光学顕微鏡と蛍光顕微鏡により細胞内組識の差異について観察を行ったところ以下の緒点が認められた. 1.栄養細胞とテンポラリーシストには球状あるいは棒状の色素体が細胞中心から放射状に配列しているが,休眠期間にあるシストには色素体が認められない. 2.栄養細胞とテンポラリーシストには細胞中央に大きな核が認められるが,シストでは小さく位置も不鮮明である.3.シストは発芽能力の獲得に伴って全体が褐色を帯び, 発芽直前には多数の色素体が形成されると共に,核が大きく明暸になる. 4.蛍光顕微鏡による観察にはB2(励起光の主波長495nm)とG(同546nm)が有効であり,波長の短いUV(同365nm),V(同405nm),BV(同436nm)では発色が弱く適さないことがわかった. 5.B2による観察ではシストは赤色粒だけが黄色く発色するが,栄養細胞とテンポラリーシストでは色素体が赤く発色し,その中に大きな1〜2個の,あるいは小さな多数の黄色色素粒が認められた. 6.Gによる観察ではシストは赤色粒だけが赤く発色し,栄養細胞とテンポラリーシストでは色素体が赤く発色していることが認められた. 7.シストの成熟に伴い,シスト細胞内にB2及びGで発色する色素体が除々に形成され,発芽直前には栄養細胞とほとんど差のない状態になることがわかった.
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