1988 Fiscal Year Annual Research Report
分散型農地開発が流域の地水循環システムに及ぼす影響評価と流域の保全性に関する研究
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62480075
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐藤 晃一 愛媛大学, 農学部, 教授 (70033149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高瀬 恵次 愛媛大学, 農学部, 助教授 (90133165)
櫻井 雄二 愛媛大学, 農学部, 助教授 (00036427)
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Keywords | 農地造成 / 地水循環 / 流出特性 / 蒸発散 / 農地保全 / 土壌侵食 / 過湿地 / 土壌水分消費量 |
Research Abstract |
今年度は昨年度にひき続き、不耕起造成による放牧草地・改良山成畑工による造成畑地、急傾斜柑橘園および対照区としての山林地で観測された流出量・降雨量・侵食量・地下水位および熱収支観測データ・土壌特性等のデータに基づいて、農地開発が流域の地水循環システムに与える影響と流域の保全性について検討を行った。その結果、次のようなことが明らかとなった。 i)農地造成に伴う流域地水循環システムの変化 改良山成畑工による造成畑地土壌では、造成直後に乾燥密度の増大・浸入能の低下など土壌の劣化が生じ、その後の営農に伴って徐々に回復する。このため、造成畑地の流出特性は著しく変化するが、その変化は洪水流出部で大きく、低水流出部で比較的小さい。特に、低水流出の変化については、流出機構と蒸発散量の変化が相互に関連するため、一般的評価を下すことは難しいが、今年度行った流況解析によれば、農地造成に伴って低水流出量はやや減少するであろうと予想された。 ii)造成畑地の保全問題(土壌侵食と過湿地問題) 造成畑地の侵食機構を雨滴侵食とリル侵食の観点から検討した。造成畑地の侵食にはリルの生成と発達が大きな役割を果し、現地の土壌・降雨条件下では斜面上端から約10mの冷置で第1次リルが、約30mの位置で第3次リルが発生することを室内実験とシミュレーションから明らかにした。一方、造成農地における地下水位データと土壌物理性実験により過湿地発生の要因として、土壌物理性の劣化のみならず、造成法面のダムの効果に伴う地下水位の上昇が挙げられることを明らかにした。 iii)急傾斜柑橘園の土壌水分管理 柑橘園における熱収支観測・土壌水分観測を行い、急傾斜柑橘園における土壌水分管理のあり方についても検討した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 佐藤晃一,櫻井雄二 他: 昭和63年度農業土木学会大会講演会要旨集. 386-387 (1988)
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[Publications] 高文煥・佐藤晃一・高瀬恵次: 昭和63年度農業土木学会大会講演会要旨集. 390-391 (1988)
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[Publications] 佐藤晃一・高瀬恵次・高文煥: 昭和63年度農業土木学会中四国支部講演会要旨集. 1988. (98-100)
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[Publications] 高瀬恵次: 農業土木学会応用水文研究部会研究討論会資料集. 1-18 (1988)
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[Publications] 高瀬恵次: 京都大学学位論文. 1-103 (1988)
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[Publications] 高文煥: 愛媛大学学位論文. 1-122 (1988)