Research Abstract |
反芻家畜の生産性に大きく関与する代謝ホルモンである成長ホルモン,ソマトメジンC,インスリン,グルカゴンの分泌に対するアミノ酸の影響について基礎的知見を得るため,めん羊(6頭)靜脈内に,17種アミノ酸を個々に3mmol/kgにて30分間注入し,ホルモン分泌反応を調べた. 供試アミノ酸はAla,Asn,Gln,Gly,Met,Phe,Ser,Thr(中性),Ile,Lou,Val(中性分岐鎖),Arg,His,Lys(塩基性),Asp,Glu(酸性),Pro(イミノ酸)である. 注入により血漿総アミノ酸濃度は4〜6倍に上昇した. 各アミノ酸の各ホルモンに対する分泌促進強弱順位は次のとおりであった. 1)成長ホルモン. Asp>Glu>Phe>Gln・Leu>Arg・Ser>Ala・Asn>Met・Val>Pro・Thr>Ile>His>Lys>Gly. 成長ホルモン分泌促進効果が特に顕著なアミノ酸はAspであり,LysおよびGlyでは逆に,弱い抑制効果が認められた. 2)ソマトメジンC. 17種アミノ酸中,Ala,Gly,Met,Phe,Leu,Asp,Gln,Argについて検討を加えた. いずれのアミノ酸についても分泌促進および抑制の効果は認められなかった. 3)インスリン. Ler>Gly>Ser>Phe>Met>Ala>Arg>Thr>Asn>Lys>Pro>Ile>Gln>Val>His>Asp>Glu. Louによる分泌促進が最も強く,His,Asp,Gluでは抑制効果が認めらめた. 4)グルカゴン. Ala>Gly>Ser>Asn>Arg>Thr>Gln>Phe>Met>Lys>Val>Glu>Asp>His>Leu>Ile. GluからIleまでは分泌抑制であった. 以上の結果から,各ホルモンに分泌を促進するのに最も効果のあるアミノ酸は,成長ホルモンではAsp,インスリンではLou,グルカゴンではAla,Glyであることが明らかとなった. また,個々のアミノ酸のホルモン分泌刺激効果がアミノ酸グループで類似しており, 効果に大きさがアミノ酸の炭素鎖に影響されることが示唆された.
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