1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河本 馨 東京大学, 農学部, 教授 (30011894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 邦郎 東京大学, 農学部, 助教授 (80196352)
高橋 英司 東京大学, 農学部, 助教授 (50183439)
土井 邦雄 東京大学, 農学部, 助教授 (70155612)
久保 周一郎 北海道大学, 獣医学部, 教授 (40001515)
高橋 迪雄 東京大学, 農学部, 教授 (30011943)
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Keywords | 黄体 / 卵巣 / プロジェステロン / 20αーダイハイドロプロジェステロン / 脾臓 / マクロファージ |
Research Abstract |
単球由来の各種ヒスチオサイトが各種組織内に存在することは周知の事実で, これらが組織固有の機能調節に関与していることは十分に予想される. 今年, 脾臓由来マクロファージ(Mφ)様細胞が黄体機能調節に重要な役割を果していることをインビトロ, インビボ実験より明らかにした. まず, ラットを用いて性周期の異る時期に脾臓摘出を行い, その影響をしらべた. その結果,Metestrusの特定時期の脾臓摘出のみがその後の排卵日を一日遅延させた. そして, 脾臓摘出ラットに別個体の脾臓細胞を移植することによって排卵遅延の発生を防ぐことが明らかになった. 脾臓摘出によって排卵遅延が生じるラットの血中プロジェステロン(P)および20αーダイハイドロプロジェステロン(20αーP)濃度を測定した結果, 正常ラットに比べてDiestrus午前中のP濃度が高く, 20αーP濃度が低いことがわかった. これらより, (1)Metーestrus 午前中に脾臓由来の浮遊性細胞が新生黄体内に侵入し性周期黄体の機能的退行を促進している. (2)性周期黄体の機能に関与する脾臓細胞に性周期の回帰を認識する機構が存在することが示唆された. 次に偽妊娠ラット(8日目)の黄体を用いて脾臓M0が直接黄体細胞に作用することをインビトロ実験で示した. 黄体細胞単独ではプロラクチン(PRL)存在下でもP/20αーP分泌比率は培養時間経過と供に低下する. PRL存在下で黄体細胞をM0と共培養した場合,P/20αーP比率は高値に保たれた. このように,インビトロ系で初めてPRLのLuteotrophic作用を示すことが可能となったが, この場合も, MetestrusのM0が最も高い活性を示した. 以上示した実験成績はM0様細胞が少なくとも黄体の機能発現あるいは分化の細胞性調節因子として機能を果していることが明らかとなった. 現在, 卵巣, 下垂体におけるこれら細胞の関与について研究中である.
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Research Products
(1 results)