1987 Fiscal Year Annual Research Report
多倍体+ュSY.tautm.+ャ二倍体キメラ胚における遺伝子効果発現に関する研究
Project/Area Number |
62480080
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊田 裕 東京大学, 医科学研究所, 教授 (90050418)
|
Keywords | 3倍体 / キメラ / 体外受精 / サイトカラシン / 前核 / 初期胚 / 胚盤胞 |
Research Abstract |
1.サイトカラシンBによる三倍体胚の作出,ICRマウスの配偶子を用いて細胞質分裂を可逆的に抑制することが知られているサイトカラシンB(CB)を5μg/mlの濃度に受精用培地へ添加し,体外受精を試みた. その結果,第2極体の放出が抑えられて細胞質内に2つの雌性前核と1つの雄性前核を持つ3前核性の受精卵が97.1%(894/901)に達し,この割合はCBを加えない培地中での2前核性受精卵の割合(95.6%)と有意差のない値であった. また,ICR系の卵とC57BL/6Jの精子の組合わせによっても,3前核受精卵が高率(94.0%)に得られた. これらの受精卵を精子添加後6時間にEDTAを微量(10〜100μM)に含む発生用培地へ移して培養を続けたところ, その大部分が2細胞期に達し,96時間後には65〜82%の胚か胚盤胞にまで発生した. これらの結果から,CBを含む培地内での体外受精とそれに続く初期胚培養によって,3前核由来の胚を高率に作出できることが知られた. 2.3倍体胚と2倍体胚とのキメラ胚の作出, 上述の方法で作出した3前核および2前核由来の8細胞期胚に対して0.5%プロナーゼ処理によって透明帯を除去した後に,フィトヘマグルチニンPの存在下に集合キメラ胚の作製を試みた. その結果,集合胚の90〜94%が36時間後に単一のキメラ胚盤胞に発生した. この値は,2倍体胚の間の集合キメラ胚の発生率(88.0%)に比較, 有意差のない値であった. このようにして得られた3前核および2前核由来キメラ胚盤胞について核型分析を試みたところ,12例のうち9例に,2nと3nの両方の染色体が検出され,3倍体+ュSY.tautm.+ャ2倍体のキメラ胚であることが確認された. 以上の結果から,体外受精に由来する3倍体胚と2倍体胚との間でキメラ胚の作製が可能であること,およびそれらの胚は体外培養により高率に胚盤胞への発生することが知られた.
|