1987 Fiscal Year Annual Research Report
動物のモービリウイルス病の遺伝子診断と組換えDNAワクチン
Project/Area Number |
62480085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 泰弘 東京大学, 医科学研究所, 講師 (80109975)
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Keywords | 牛疫ウイルス / H蛋白遺伝子 / F蛋白遺伝子 / ベクターワクチン |
Research Abstract |
牛疫ウイルスの感染に最も重要と考えられる2つのエンベロープ糖蛋白, H蛋白とF蛋白の全塩基配列を決定した. 塩基配列から推定されるH蛋白は疎水性アミノ酸配列がN末端にしかなく, シグナルペプチダーゼ認識部位を欠いていた. 従ってN末端部の疎水性配列が, シグナルペプチドと膜通過部位の両方を兼ね, C末端が外測に出ているユニークな構造を持つと考えられるので, 現在各エピトープに対応する合成ペプチドを作成し, 特異抗体を用いてH蛋白の立体構造解析を進めている. またF蛋白は, プロチアーゼによる開裂部位と思われる塩基性アミノ酸配列RRHKRを持ち, 開裂後のF_1のN末端になる疎水性アミノ酸配列は, 他のモービリウイルスおよび他のパラミキソウイルスと共通していた. 糖付加部位はF_2にのみ3ヶ所存在していた. 牛疫ウイルス感染細胞をアイソトープラベルし, Fに対するモノクローナル抗体あるいは単特異抗体を用いた免疫沈降法により, F_0からF_1, F_2に開裂すること, F_0とF_2蛋白は糖付加しているがF_1蛋白には糖鎖が結合していないことが確められ, 塩基配列から推定された構造と, 感染細胞を用いた分析結果とは, よく一致していた. この他にHとF遺伝子をワクチニアウイルスに組込んだベクターワクチンの作成を行なっている. 7.5K蛋白あるいはA型封入体のプロモーターの下流に牛疫ウイルスのH遺伝子を組込んだワクチニアウイルスクローンを得ることが出来たので, 現在ウサギを用いてワクチン効果を調べている. 両プロモーターとも感染ウサギに対してH蛋白に対する抗体産生を惹起し, 牛疫ウイルスウサギ順化株(L株)の攻撃に対して, 完全に発症を阻止した. 現在F遺伝子あるいはH・F遺伝子を組込んだワクチニアウイルスクローンについても研究を進めている.
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Research Products
(2 results)