1988 Fiscal Year Annual Research Report
げつ菌類における腎症候性出血熱ウィルスの伝播機序に関する研究
Project/Area Number |
62480087
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 信夫 北海道大学, 獣医学部, 教授 (60082103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 千春 国立予防衛生研究所, 獣疫部, 室長 (50072369)
高島 郁夫 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (30002083)
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Keywords | 腎症候性出血熱 / HFRSウィルス / ハンタウィルス / ドブネズミ / HFRSの疫学 / HFRSウィルスの伝播 / ウィルス性ズノーシス / げつ菌類媒介性人畜共通伝染病 |
Research Abstract |
北海道上磯町で発見されたドブネズミにおける腎症候性出血熱(HFRS)の流行巣で定期的にドブネズミを捕獲し、ウィルス学的ならびに血清疫学的調査を実施するとともにラットを用いて実験的にHFRSウィルスの伝播機序を検討した。 1.1983年から1988年までに上磯町のごみ処理場で合計236匹のドブネズミを捕獲した。これらにおいて抗体陽性例は5ケ月齢以上の成獣に多く、また肺組織での抗原検索で抗原は抗体陽性例からのみ検出された。さらに抗体価の高い成獣の肺から7株のHFRS関連ウィルスが分離された。 2.この流行巣のドブネズミ由来KI-262株は札幌医大ラット由来SR-11株と同じくラット属型の抗原性を示した。しかしSR-11株は哺乳ラットに致死的なのに対してKI-262株は起病性がなく弱毒型であった。 3.ラットに坑血清を投与して受身交差感染防禦試験を行ったところ、KI-262株ではラット属型株と同様の防禦効果が得られたが、ラット型株とアポデムス型株の間にも弱い交差防禦結果が認められた。 4.本流行巣のドブネズミ由来株の抗原性を単クローン性抗体を用いて中和試験法により検討したところ1984年と1988年の分離株の間で抗原変異(Antigenicdrift)が認められた。 5.Hantaan 76-118株の表面蛋白(G1とG2)に対する24種類の単クローン性抗体を用いて表面蛋白の抗原性を調べ、9つの抗原領域を区別した。さらにウィルス中和と赤血球凝集にG1とG2両蛋白の関与が認められた。 6.流行巣のドブネズミの外部寄生虫を分類し、さらにトゲダニ類の乳剤を哺乳ラットに接種したところネズミトゲダニ(Laelaps echidninus)接種ラットで抗体陽性例が検出された。そこでHFRSウィルスのベクターとしてのトゲダニの役割を調べるためにネズミトゲダニの人工吸血法を開発し、HFRSウィルスの安全な人工吸血感染実験法を確立した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Zhang,X-K,et al.: Arch.Virol. 103. 253-265 (1988)
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[Publications] Zhang,X-K,et al.: Microbiol.Immunol.33. 195-205 (1989)
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[Publications] Zhang,X-K,et al.: Arch.Virol.106. (1989)
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[Publications] Imamura,I.,et al: 22nd Joint Working Conference on Viral Diseases,Japan-US Cooperative Med.Scie.Program. 22. 35-36 (1988)
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[Publications] Kawamura,K.,et al: Acta Virol.Submitt. (1989)
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[Publications] 藍明陽 他: 第106回 日本獣医学会総合要旨集. 106. (1989)