1987 Fiscal Year Annual Research Report
無包埋切片法の確立とそれによる細胞基質の構築と機能についての解析
Project/Area Number |
62480092
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
近藤 尚武 金沢大学, 医学部, 教授 (20004723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 美由紀 金沢大学, 医学部, 助手 (60139780)
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Keywords | 無包埋切片法 / ポリエチレングリコール包埋 / 細胞基質 / 細胞骨格 / マイクロトラベキュラ |
Research Abstract |
種々の生体組織から本法による無包埋状態の切片を作製し, さらに白金蒸着によるレプリカを得て電顕観察をおこなった. その結果本法で得られる細胞内部と細胞膜内外面の形態像が, 既報の急速凍結エッチレブリカ法によるものと酷似することを証明した. これにより, 従来の化学固定を基にした本法が急速凍結固定に比して多くの人工的変形を細胞形態に与えるというこれまでの批判は不当であることが明確にされた. 次いで本法による切片が無包埋状態である為に抗体の細胞内部への良好な浸透性を示すことから, 本法の免疫細胞化学的応用を試みた. 副腎髄質細胞を正常時とストレス状態とで観察し, 細胞骨格蛋白のアクチンとチュブリンの局在を調べた. そしてこれらの蛋白がストレスにより著明な細胞内局在の変化を示すことを, 本法による解像度の高い蛍光免疫顕像で明らかにし, さらに免疫電顕的にもそれらの正確な局在を明確にした. また下垂体中間葉の細胞ではアクチンが微細斑点状に出現することを本法により初めて明らかにし, 免疫電顕的にはその斑点状局在が分泌果粒そのものには一致せずにそれらの近傍のマイクロトラベキュラにアクチンが局在することを明確に示した. この事実は従来のアクチンの細系状出現と著しく異なり, 中間葉細胞の特異な分泌機構をもつことを示唆する. 一方この無包埋切片法は走査電顕的観察にも応用できる. すなわち細胞の一断を光顕・透過電頭および走査電顕で各々の像の正確な対応ずけをしながら形解析するのに非常に有効であることを示した. 以上のように初年度で研究実施計画に沿って本法の確立とその形態学における有用性を確認証明することができた. これらの所見をふまえて次年度では分泌等の細胞の動的過程に注榛して細胞を観察し, 細胞基質の本態解明に努力するつもりである.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 近藤尚武: 新潟医学会雑誌. 101. 361-366 (1987)
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[Publications] 近藤尚武: Experimental Brain Research Series 16 Springer-Verlag Berlin Heidelberg. 16. 139-144 (1987)
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[Publications] Correlative Microscopy in Biology:Instrumentation and Methods. Academic Press Inc. 347-354 (1987)
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[Publications] J.Electron Microscopy Technique. 7. 17-27 (1987)
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[Publications] Biology of the Cell. 60. 57-62 (1987)