1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480094
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Research Institution | Osaka University Medical School |
Principal Investigator |
藤田 尚男 大阪大学, 医学部, 教授 (50033949)
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Keywords | 甲状腺 / 毛細血管 / 血管の可塑性 / 低ヨード食 / 走査型電子顕微脈 / 血管鑄型 / 血管の発芽 |
Research Abstract |
長期間低ヨード食で飼育し、フィードバックにより下垂体からのTSHの分泌を盛んにしたラットの甲状腺の毛細血管の立体構築、超微構造、内皮細胞の増殖能などを観察し、腺の分泌機能に対応する血管の可塑性を追求した。低ヨード食で、3ケ月、6ケ月、1年間飼育したラットの甲状腺は光学顕微鏡像では、濾胞上皮細胞の丈は著しく高くなり、濾胞腔は非常に小さくなるが、濾胞の単位は存在しつづける。濾胞周囲を取り囲む毛細血管は、不規則に拡張する。走査型電子顕微鏡を用いた血管鋳型像では、正常と同じように濾胞を囲む籠状の毛細血管網の単位が明瞭である。血管は全般的には著しく拡張し、毛細血管同士の吻合がふえ、発芽を思わせる盲端像も多数見られる。透過型電子顕微鏡でも、不規則に拡張した毛細血管腔が、隣の毛細血管腔と融合する像がしばしば認められる。毛細血管の内皮細胞は、多様な変化を示す。すなわち血管腔側に多数の突起を出していることが多く、厚くなった細胞質には多数のミトコンドリア、よく発達した粗面小胞体、ゴルジ装置、遊離リボゾーム、多数の小胞がみられ、蛋白合成の盛んなことを思わせる。毛細血管の新生や融合を思わせる所や、毛細血管の内皮細胞が偽足状の突起を出しているところでは基底膜が厚くなったり、消失したりして、きわめて不規則不明瞭になっていることが多い。毛細血管内皮や濾胞上皮細胞の^3Hーチミジンを取り込む細胞の数は、正常では殆どないが低ヨード食により著しく多くなる。要するに低ヨード食により、フィードバックによって下垂体のTSHの分泌を盛んにすると、濾胞上皮細胞は強い機能亢進像を呈し、それに対応して毛細血管は強い可塑性を示す。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Fujita,H.;Imada,M.: Quarderni di Anatomia Practica(VIII International Symp.on Morph.lci.Abshacts. 141-141 (1988)
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[Publications] Fujita,H.: Abstract of First Korea-Japan Anatomical Joint Meeting Pusan Seminar. 33-54 (1988)
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[Publications] Imada,M.;Fujita,H.: J.Electron Microscopy. 37. 243-244 (1988)
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[Publications] Fujita,H.: International Review of Cytology. 113. 145-185 (1988)
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[Publications] Rhodin,J.A.G.;Fujita,H.: J.Submicroscopic Cytol.Pathol.21. 1-34 (1988)