Research Abstract |
超高圧電子顕微鏡H1250による三次元立体観察およびコンピューター立体画像解析の手法を用いて, ラット歯状回顕顆粒細胞樹状突起における樹状突起刺の定量的解析を行った. ゴルヂ染色後プラスチック包埋を行った試料から100μmの切片を作製し光学顕微鏡による記録を行ったのち, さらに5μmの連続切片を作製して, 超高圧電子顕微鏡を用いて0°および±8°傾斜の三枚の写真をつくり立体画像解析に用いた. 歯状回分子量層を, それぞれ入力を異にする遠位, 中位, 近位の三部に分け, それぞれの部位に属する樹状突起, 400μm, 690μm, 327μmについて, 樹状突起刺(以下SPと略記する. 又以下の記載はすべて遠位, 中位, 近位の順に行う)SPの数, 分布密度, 長さ, 直径についての計測を行った. SPの分布密度は2.02, 2.28, 3.36/μmであり, 従来の光顕による記載の約1.6倍に達した. 1μm^2あたりに換算すると約0.85となり樹状突起の各部を通じてほぼ一定である事が分ったが, これは従来の光顕の結果との著しい相違点である. SPの柄の直径の平均値は0.18μm以下であり, 光顕による結果の不正確さを暗示している. 三次元計測を行ったSPの長さは1.24μm, 1.26μm, 1.254μmであり, 二次元計測例の約1.4倍に達した. 三次元計測によって得られた, SPの形態指数, 分布密度から単位長さあたりの樹状突起上のSPの総面積および裸の樹状突起面積を計算し2.401μm^2, 2.806μm^2, 4.18μm^2, および, 2.292μm^2, 2.669μm^2, 4.333μm^2を得た. この結果から顆粒細胞樹状突起の総表面積は, 遠位, 中位, 近位の各部を通じ約2倍に拡大されていることが分った. 又平均的な歯状回脊側部顆粒細胞は約38000のSPを持つことが推定された. 超高圧電子顕窮鏡によるSPの立体定量の試みは世界ではじめて行われたものであり, 極めて有効な方法であることが分った.
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