1987 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄前角内在活性物質の運動ニューロンに対する作用機構の解析
Project/Area Number |
62480106
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 智幸 京都大学, 医学部, 講師 (40092415)
|
Keywords | 脊髄スライス / パッチクランプ / 内在活性物質 / 運動ニューロン / ペプチド |
Research Abstract |
新生ラット脊髄より厚さ130μmのスライスを作成し,ノマルスキー顕微鏡(400倍)水浸レンズ下に運動ニューロンを観察の後.先端約10μmのピペットより生理食塩水を陽圧によって運動ニューロン表面に吹きつける事によって, 表面膜を露出した. パッチ電極を近づけて,表面膜と電極先端とを密着させ,高抵坑ギガオームシールを形成した. 電極内に陰加圧する事によって,電極下の膜を破壊し,細胞内と電極内を交通せしめた(Wholecell記録法). 灌流液中にテトロドトキシンを加えて,介在ニューロンの影響を除去した後に,前角内在活性物質を投与して,電位固定下に生じる膜電流への影響を解析した. 活性物質の投与法は,通常のbath内投与の外に,先端100μのピペットを細胞の近傍,50〜100μに近づけて,水圧によって投与する局所法とを併用した. 内在活性物質は,セロトニン,substance P,thyrotropinーreleasing hormone(TRH)を用いた. 現在までに得られた結果は,1.いずれの活性物質も膜コンダクタンスの減少を惹起する. 2.作用濃度はμM程度で,nM程度では作用が認められない. 3.EGTAで細胞内Caをキレートした後も作用は失われない事から,おそらく細胞内Caは関与していない. 4.いずれの作用も,外液Clイオンの低濃度で顕著となる為,Clコンダクタンスの上昇によって,K^+コンダクタンスの減少がマスクされている可能性がある. 5,活性物質によって,電位依在性のKチャネルが抑制される. その作用は,テトラ チルアンモニウムなどのKチャネルブロッカーと見かけ上類似する. 6パッチピペットにより,ATPを負荷しても,結果は異らないので,ATPは,おそらく第2メッセンジャーとしては関与していない. 次の実験としては, cell attached patchで活性物質を投与する事を計画している.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] T.Takahashi: Proc.Salt.Acad.Sci.USA. 84. 5063-5067 (1987)
-
[Publications] Y.Harada;T.Takahashi et al.: J.Neurosuience. 7. 3265-3273 (1987)
-
[Publications] T.Takahashi: Seurosueince Research Suppl.