Research Abstract |
新生ラット脊髄より厚さ130μmのスライスを作成し,ノマルスキー顕微鏡(400倍)水浸レンズ下に運動ニューロンを観察の後.先端約10μmのピペットより生理食塩水を陽圧によって運動ニューロン表面に吹きつける事によって, 表面膜を露出した. パッチ電極を近づけて,表面膜と電極先端とを密着させ,高抵坑ギガオームシールを形成した. 電極内に陰加圧する事によって,電極下の膜を破壊し,細胞内と電極内を交通せしめた(Wholecell記録法). 灌流液中にテトロドトキシンを加えて,介在ニューロンの影響を除去した後に,前角内在活性物質を投与して,電位固定下に生じる膜電流への影響を解析した. 活性物質の投与法は,通常のbath内投与の外に,先端100μのピペットを細胞の近傍,50〜100μに近づけて,水圧によって投与する局所法とを併用した. 内在活性物質は,セロトニン,substance P,thyrotropinーreleasing hormone(TRH)を用いた. 現在までに得られた結果は,1.いずれの活性物質も膜コンダクタンスの減少を惹起する. 2.作用濃度はμM程度で,nM程度では作用が認められない. 3.EGTAで細胞内Caをキレートした後も作用は失われない事から,おそらく細胞内Caは関与していない. 4.いずれの作用も,外液Clイオンの低濃度で顕著となる為,Clコンダクタンスの上昇によって,K^+コンダクタンスの減少がマスクされている可能性がある. 5,活性物質によって,電位依在性のKチャネルが抑制される. その作用は,テトラ チルアンモニウムなどのKチャネルブロッカーと見かけ上類似する. 6パッチピペットにより,ATPを負荷しても,結果は異らないので,ATPは,おそらく第2メッセンジャーとしては関与していない. 次の実験としては, cell attached patchで活性物質を投与する事を計画している.
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