1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480119
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Research Institution | Nagoya University School of Medicine |
Principal Investigator |
日高 弘義 名古屋大学, 医学部, 教授 (80100171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 直久 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80109321)
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Keywords | 細胞内カルシウム調節機構 / ミオシン軽鎖リン酸化反応 / 血管平滑筋収縮 / ミオシン軽鎖キナーゼ阻害剤 / ML-9 / 分子薬理学 |
Research Abstract |
平滑筋や非筋細胞のCa^<2+>調節機構の1つであるミオシン軽鎖リン酸化反応について、蛋白質分子レベルから細胞・組織レベルの実験を行ない、それらを比較解析し、以下の成果を得た。 1.前年度で特異性や作用様式を明らかにしたミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)阻害剤ML-9の作用を種々の系で検討した。ML-9はウシ大動脈平滑筋から調製したアクトミオシン(ミオシンB)のMg-ATPase活性や超沈殿反応を用量依存性に阻害した。その効果は、反応系のATP濃度を増加させることにより減弱し、MLCK阻害のキネティクスと一致した。ウサギ腸間膜動脈ラセン条片の種々収縮惹起物質による収縮反応をML-9は非特異的に抑制し、各収縮反応に共通したプロセスを阻害していることが示唆された。また、ML-9は同標本を50mMKclで刺激した時の収縮反応と細胞中の20kDaミオシン軽鎖リン酸化反応を用量依存性に阻害した。この時のリン酸化量と張力発生の初期速度の関係を解析すると両者には良い相関が認められた。さらに、同動脈のサポニン処理スキンド線維のCa^<2+>収縮だけでなく、トリプシン処理にてCa^<2+>非依存性となったMLCKによる収縮反応もMLー9は有意に抑制した。したがって、組織レベルにおいてもミオシン軽鎖リン酸化反応は、収縮を惹起するのに必須であることが証明された。2.トロンビン刺激ヒト血小板において、ミオシン軽鎖がMLCKだけでなく、Cキナーゼによってもリン酸化されることを発見し、そのリン酸化部位の差違も明らかにした。3.単離したミオシンを用いて、リン酸化反応と脱リン酸化反応がミオシン分子の構造変化により影響を受けることを明らかにした。 4.以上、本研究は、血管平滑筋や血小板の細胞内Ca^<2+>調節機構として、ミオシン軽鎖リン酸化反応が重要であることを細胞レベルではじめて解明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Ishikawa: Molecular Pharmacology. 33. 598-603 (1988)
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[Publications] M.Naka: Archives of Biochemistry and Biophysics. 261. 235-240 (1988)
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[Publications] M.Ikebe: The Journal of Biological Chemistry. 263. 10698-10704 (1988)
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[Publications] H.Hidaka: "Methods in Enzymology VOL.159" Academic Press Inc., 9 (1988)