1987 Fiscal Year Annual Research Report
肥満細胞からのヒスタミン遊離における細胞骨格の関与に関する研究
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62480121
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田坂 賢二 岡山大学, 薬学部, 教授 (20033152)
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Keywords | 肥満細胞 / 脱顆粒 / 細胞内骨格 / アクチン / カルモジュリン / チュブリン / モノクローナル抗体 / 細胞融合 |
Research Abstract |
ラット小腸のアセトン粉末より,Spudich Wattの方法に従って,アクチンを精製した. このアクチンをギ酸処理した後,Freundの完全アジェバントと共にマウスに皮下注射して感作した. ELISAシステムを用いて抗体価が上昇したことを確認した後,脾臓を摘出した. 脾臓細胞とマウスミエローマ細胞を細胞融合装置を用いて細胞融合を行った. ELISAシステムにより,抗アクチン抗体産生クローンを検索し,最終的に,抗アクチンモノクローナル抗体を得た. 抗アクチンモノクローナル抗体を用い,蛍光抗体法を行ったところ,肥満細胞内の細胞膜裏打ち及び顆粒の間隙マニケ蛍光が分布した. また,蛍光標識抗体存在下に,肥満細胞に脱顆粒を惹起させると,顆粒を細胞外に押し出す様にならんだフィラメントの蛍光が認められた. アクチンそのものにローダミンを結合させた. 蛍光標識アクチンの共存下に同様の実験を行うと,顆粒表面に強い蛍光が認められ,顆粒上にアクチン結合部化が存在することが示された. 金コロイドを結合させた抗マウスIgGを用い,免疫電顕法を行ったところ,肥満細胞の細胞膜焼打ちと,顆粒間をつなぐアクチンフィラメントが確認された. また,顆粒の押し出しにもアクチンフィラメントが関与しているのを認めた. 以上の結果,肥満細胞の脱顆粒には,アクチンフィラメントが重要な役割を担っていることが,今回初めて明らかとなった. 細胞骨格調節因子であるカルモデュリンは,ラット脳よりアフィニティークロマトグラフィーによって精製し,アクチンの場合と同様の方法で,抗カルモデュリンモノクローナル抗体の作成に成功した. この抗体を肥満細胞に注入すると,脱顆粒反応は抑制され, 脱顆粒にカルモデュリンが関与していることが示された. 現在免疫電顕でカルモデュリンと脱顆粒の関わりを検討している. ラット脳よりチュブリンを精製し,現在ELISAシステムを用いて抗体産生クローンを検討中である.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kenji Tasaka;Mitunobu Mio;Masahiro Okamoto: Agents Actions. 20. 320-323 (1987)
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[Publications] Kenji Tasaka;Masaaki Akagi;Mitsunobu Mio;Kazuhisa Miyoshi;Naoki Nakaya: Int.Archs Allergy appl.Immunol.83. 348-353 (1987)