1988 Fiscal Year Annual Research Report
受容体機構の変換に伴う細胞膜ホスホリパーゼC活性化と情報伝達機構の変動
Project/Area Number |
62480123
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 隆一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40112685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹川 展幸 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20187107)
中木 敏夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30164148)
山本 慧 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (50138129)
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Keywords | 牛副腎髄質培養クロマフィン細胞 / イノシトール三リン酸 / 細胞内遊離Ca^<2+> / サイクリックGMP / ニコチン受容体 / ムスカリン受容体 / 培養日数 |
Research Abstract |
前年度までの研究により、初代培養細胞における受容体シグナルトランスダクションがムスカリニックからニコチニックへどのように変換するかを、受容体刺激に伴うホスホリパーゼCの活性化によるイノシトール三リン酸の蓄積、および細胞内Ca^<2+>遊離について検討した結果、細胞内遊離Ca^<2+>上昇に関与するコリン受容体およびイノシトール三リン酸(主としてイノシトール-1,3,4-三リン酸)の生成機構に連関するコリン受容体は共に培養日数に伴ってムスカリニックからニコチニックへ変換することが明らかとなった。ムスカリン受容体の変動を〔^3H〕QNB結合実験にて検討したところ、ムスカリン受容体の親和性および最大結合数共に培養日数によらず一定であった。従って、ムスカリニックからニコチニックへの変化は、受容体自身の変動によるものではないと思われる。またムスカリン受容体とニコチン受容体はアミノ酸の一次構造が著しく異なるので細胞膜上で立体構造が変化したとも考えられない。従って、受容体とホスホリパーゼCの間の連関機構が培養機関中に変化した可能性が最も大きい。培養液中の抗生物質の中には膜のイオノフォア様作用を有するニスタチンが含まれているが、ニスタチンを除去した培養液中で5日間培養してもムスカリニックからニコチニックへの変換には影響がなかった。また、クロマフィン細胞を調整する際に使用するコラゲナーゼおよびDNaseがアセチルコリン受容体のシグナルトランスダクションに影響を及ぼしたために本来機能すべきニコチン受容体との連関が失われた可能性も考えられたが、培養5日目の細胞を上記の酵素で処理してもニコチン受容体との連関は保たれていたことにより、その可能性はないものと思われた。変換の分子機構については今後もさらに追求の余地があるものと思われた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sasakawa,N.: Biochem. Pharmacol.37. 2485-2487 (1988)
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[Publications] Sasakawa,N.: Cell. Signal.1. 75-84 (1989)
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[Publications] Sasakawa,N.: J. Neurochem.52. (1989)
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[Publications] 山本慧: "ホルモンと臨床" 医学の世界社, 29-35 (1988)
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[Publications] 加藤隆一: "刺激-分泌連関におけるシグナルトランスダクションとCa^<2+>動態" 日本薬理学会, (1989)