1987 Fiscal Year Annual Research Report
脳における蛋白質チロシン残基のりん酸化, 膜りん酸反応の意義に関する研究
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62480126
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 八郎 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (20029937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 雅人 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (10177058)
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Keywords | インスリン / インスリン受容体 / 自己りん酸化反応 / チロシンキナーゼ / pp60^<c-src> / プロテインチロシンホスファターゼ |
Research Abstract |
神経系における蛋白質チロシン残基りん酸化・脱りん酸化反応の意義を明かにする目的で, チロシンキナーゼの活性を有する2種の酵素に着目し解析をすすめた. 1. インスリン受容体チロシンキナーゼ,ラット胎仔脳から初代培養した神経細胞の軸索伸長, ネットワーク形成にインスリンが促進作用を示すことを見出した. ^<125>Iーインスリンを用いた結合実験. 自己りん酸反応抗受容体抗体を利用して, 神経細胞における受容体の存在, 性質を確認し, それが細胞分化の初期段階から既に発現していることを明かにした. 次年度にはチロシンキナーゼを介する作用発現機構を明かにする目的で, その細胞内基質を初代培養系を用いて検索する. 2. pp60^<C-src>関連チロシンキナーゼ. ラット脳神経細胞成熟期(出生〜生後1週間)に高いチロシンキナーゼ活性を見出し, その酵素分子の同定を試みた. 新生ラット脳から, 2種類のpp60^<c-src>と, pp60^<c-src>とは免疫学的, 酵素学的に異る新しいチロシンキナーゼ(以下NーPTKと略す)を分離した. NーPTKは分子量が47K,pI7.0の單量体で, 自己りん酸化反応を示さないが, 厳密な基質特異性を示し, グルタミン酸, チロシンポリマーなどの人工基質以外では, pp60^<c-src>のみをりん酸した. pp60^<c-src>はN末端から527残基目のチロシンが, 未同定のチロシンキナーゼによってりん酸化され, 活性抑制を受けることが知られているが, NーPTKによるりん酸化でも同様な活性抑性が認められた. これらの結果から, NーPTKがpp60^<c-src>の活性調節に関与する重要なチロシンキナーゼである可能性が強く示唆された. 次年度には, 1)NーPTKの局在性, 発現の特異性を調べるためのモノクロナール抗体の調製. 2)pp60^<c-src>の活性調節に関与するプロティンチロシンホスファターゼの同定をおこない, 3)pp60^<c-src>の脳内における存在意識を明かにしたい.
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[Publications] 岡田雅人: Biomedica. 2. 611-615 (1987)
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[Publications] Noboru Motoyama: Journal of Biochemistry. 101. 939-947 (1987)
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[Publications] Masato Okada: Journal of Biochemistry.
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[Publications] Masato Okada: Biochemical Biophysical Reseatch Communication.