1989 Fiscal Year Annual Research Report
赤芽球でのヘム生合成調節とその病態の研究-δ-アミノレブリン酸合成酵素の役割
Project/Area Number |
62480129
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 典夫 東北大学, 医学部, 教授 (00004606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小堺 正史 東北大学, 医学部, 助手 (20004624)
宗像 浩 東北大学, 医学部, 助教授 (90111294)
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Keywords | δ-アミノレブリン酸合成酵素 / アイソザイム / 赤芽球 / cDNA |
Research Abstract |
1)ラット赤血球型ALA合成酵素(ALAS)のcDNAクロ-ニング:ラット脾臓の赤芽球画分のpoly(A)^+RNAより作成したλgtll発現ライブラリ-から複数の陽性クロ-ンを得たことを昨年度に報告した。本年度は、まず得られたクロ-ンに含まれるALAScDNA部分の一次構造を決定した。最も長い挿入配列は1.2kbで、赤血球型ALASmRNAの3'側約2/3をコ-ドしていた。予想されるアミノ酸配列はラット肝型酵素と76%、ニワトリ赤血球型酵素と62%のホモロジ-を持っていた。特に、後者の値はラットとニワトリの肝型酵素の対応部分間のホモロジ-(91%)よりも著しく低く、進化の上では、肝型には赤血球型に比しアミノ酸配列をよりよく保存させるようなselective pressureが働いて来たと考えられる。 2)単離cDNAクロ-ンを用いたALASアイソザイム発現の解析:ラット赤血球型および肝型ALASのcDNAをプロ-ブとして、ラット各組織のALASmDNAの発現をNorthern blot法で検討した。肝,脳、骨格筋、副腎、ハ-ダ-腺では肝型mRNAが発現し、脾臓では赤血球型が発現していた。しかし、心臓、腎臓、睾丸では肝型と赤血球型の両方が検出された。これまで赤血球型ALASは造血組織においてのみ発現されているとされてきたが、この結果は赤血球型ALASが他の組織でも発現されていることを示しており、今後両型の組織特異的発現およびその調節についてさらに検討を加える必要がある。 3)ヒト赤血球型ALAScDNAのクロ-ニング:ラット赤血球ALAScDNAをプロ-ブとして、ヒト骨髄cDNAライブラリ-をスクリ-ニングした結果、複数の陽性クロ-ンが得られ、現在一次構造を解析中である。得られたクロ-ンはALAS活性の低下を特徴とする原発性鉄芽球性貧血の病態解明に役立つと期待される。
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Research Products
(2 results)