1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480131
|
Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
長田 重一 大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部(分子生物学), 部長 (70114428)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上代 淑人 東京大学, 医科学研究所, 教授 (90012690)
|
Keywords | 多能性幹細胞 / 顆粒球コロニー刺激因子 / ミエロペルオキシダーゼ / 遺伝子工学 / 細胞の増殖と分化 |
Research Abstract |
血液中に存在する顆粒球は多能性幹細胞に由来し, 種々の中間段階の細胞を経て, ミエロペルオキシダーゼなどの特異的酵素を持つ成熟細胞へと分化していく. この増殖と分化過程には, GーCSFとよばれるタンパク性因子が関与しており, 本研究代表者らは, これまでに, GーCSFをコードするヒトおよびマウス cDNAを単離し, その構造を決定した. そこで本年度は, ヒト GーCSF cDNAをウシパピローマウイルスをベクターとしてマウス細胞に導入し, GーCSFを構成的に大量に分泌生産するマウス細胞株を樹立し, その培養液からヒト GーCSFを均一タンパク質として精製した. このヒト GーCSFをマウスの皮下に24時間ごと8日間注射したところ, マウス血中の好中球は顕著に増加し, 通常の6〜10倍にまで達した. それと同時に, マウス脾臓も肥満化し, その重量は正常脾臓の2〜3倍にまで増大した. 一方, GーCSFは, in vitroにおいて, マウス白血病細胞 NSFー60の増殖を促進するのに対し, 他の白血病細胞 WEHIー3BD^+細胞の分化を誘導した. また, 顆粒球に存在するミエロペルオキシダーゼに注目し, ヒト前骨髄性白血病細胞である HLー60細胞より, ヒトミエロペルオキシダーゼ cDNAを単離しその構造を決定した. その結果, ミエロペルオキシダーゼの2コのサブユニット(heavy chainとlight chain)は1コの mRNAによってコードされており, そのプレプロ前駆体から, 数段階のprocessingを経て, 成熟タンパク質となることが示唆された. このミエロペルオキシダーゼ遺伝子の発現を検討したところ, NFSー6D,WEHIー3BD^+細胞ともにミエロペルオキシダーゼを発現しているが, GーCSFによってその分化が誘導される WEHIー3BD^+細胞においてのみ, その発現抑制が, 癌遺伝子 mycとともに観察された.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] M.Tsuchiya: The EMBO J.6. 611-616 (1987)
-
[Publications] K.Morishita: J.Biol.Chem.262. 3844-3851 (1987)
-
[Publications] M.Tamura: Biochem.Biophys.Res.Commun.142. 454-460 (1987)
-
[Publications] M.Tsuchiya: Eur.J.Biochem.165. 7-12 (1987)
-
[Publications] K.Morishita: J.Biol.chem.262. 15208-15213 (1987)
-
[Publications] K.Kanda: Somat.Cell Mol.Genet.13. 679-684 (1987)