1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480138
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Research Institution | Okayama University Medical School |
Principal Investigator |
高橋 聖之 岡山大学, 医学部, 教授 (90101815)
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Keywords | S100蛍白 / Tリンパ球 / 細胞障害性T細胞 / dendritic cell |
Research Abstract |
S100陽性T白血病細胞は非特異的細胞障害活性を示すが、その活性を示さない正常S100陽性Tリンパ球とT細胞抗原受容体(TcR)の発現の相違を検討した。その結果、S100陽性T白血病細胞にはγδ鎖ヘテロダイマーの発現が見られ、正常S100陽性Tリンパ球にはαβヘテロダイマーの発現が見られた。この結果、S100陽性T白血病細胞はγδ鎖をもったために適的細胞非特異的な活性を示す細胞障害性T細胞(CTL)と解釈され、γδ鎖ヘテロダイマーをもつ正常S100陽性Tリンパ球は拡原特異性、MHC拘束性を示すCTLと考えられた。これを証明するために、ヒト正常S100陽性Tリンパ球クローンの樹立を行った。アロ抗原で刺激したTリンパ球をインターリューキン2(ILー2)でクローニングして得られたクローンの1つYtCL6は正常のS100陽性Tリンパ球のフェノタイプを持ち、αβ鎖ヘテロダイマーを発現していた。YtーCL6クローンはアロ抗原特異的なCTLで、この抗原特異性は抗CD3抗体、抗体αβ鎖ヘテロダイマー抗体(WTー31)によってブロックされ、同時に抗原非特異的な細胞障害活性を発揮するというCTLクローンの特微を示した(第47回日本癌学会総会記事)。以上の結果はS100陽性Tリンパ球がCTLに属するリンパ球であることを示したが、さらにTPAによって著明な樹枝状細胞に形態分化する事を見い出した。この変化はS100陽性T白血病細胞でも正常S100陽性Tリンパ球クローンYtーCL6細胞でも見られ、他のT細胞クローンでは観察されなかった事から、S100陽性Tリンパ球にかなり特徴的な性質と考えられた。この樹枝状に変化したS100陽性Tリンパ球はTcR分子を発現し、T細胞マーカーをもつ点で、dendritic cellとは異っているが、マウスにThyー1^+ dendrtic epidermal cellというTcR分子をもつdendrtic cellが存在し、これに近い細胞がヒトでも存在する可能性を示す所見と考えている。
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