1988 Fiscal Year Annual Research Report
メラトニンの生理学的ならびに病理学的作用に関する研究
Project/Area Number |
62480140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 亘 東京大学, 総長 (40013825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 弘 東京大学, 医学部, 助手 (50167805)
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Keywords | メラトニン / 抗糖質ステロイドホルモン作用 / 抗高コレステロール血症作用 |
Research Abstract |
これまで私どもは、幼若ラット,及び成熟ラットを用いた実験において、メラトニンにも糖質ステロイドホルモンに対して拮抗する作用のあることを見出した。即ち、糖質ステロイドホルモンであるデキサメタゾンを大量かつ長期にわたり投与したウィスター系雌の8週齢成熟ラットに認められた。体重減少、胸腺や副腎の皮質萎縮、尿糖出現、血糖値、血中インスリン値の上昇などの諸変化が、メラトニンを投与することにより、いずれも明らかに軽減されるという事実を見出した。また、これと全く同様の現象が8週齢の雌ハムスターを用いた実験でも認められ、さらに病理組織学的検索の結果、デキサメタゾンを投与することにより生ずる膵臓ランゲルハンス島の著しい過形成やβ細胞の増生が、メラトニンを投与することにより明らかに軽減されることを見出した。今年度は、大量デキサメタゾンを短時間幼若ラットに投与した後、中止後に見られる変化が、メラトニンを同時に投与しておくことにより軽減されるか否かを観察した。即ち、コントロール群として、4週齢の雄ラットに5日間にわたり大量のデキサメタゾンを投与し中止すると、中止直後ないし1日後にリバウンドショックによると考えられる状態で多くが死亡した。これに対し、メラトニンを同時に投与していた投与群においては、死亡率がやや低く、デキサメタゾン投与中止後のショックが軽減されることが示唆された。この際、生存したラットの副腎重量はコントロール群に比べ投与群で重く、メラトニン投与により、副腎萎縮が軽減されることが示された。さらに、死亡したラットについても、コントロール群に比べ投与群で重く、副腎萎縮が軽減されることが示された。現在、デキサメタゾン及びメラトニンの投与量、及び投与期間を変えることにより、リバウンドショックによる死亡を防ぐことが可能であるが、検討中である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Aoyama,H.,Mori,N.,Mori,W.: Atherosclerosis. 69. 269-272 (1988)