1988 Fiscal Year Final Research Report Summary
モデル膜(リポソーム)を用いた蛋白質性溶血毒素の膜障害機構の解析
Project/Area Number |
62480152
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
細菌学
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Research Institution | Okayama University (1988) The University of Tokyo (1987) |
Principal Investigator |
保田 立二 岡山大学, 医学部附属環境病態研究施設, 教授 (30092357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 敏夫 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00126129)
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Project Period (FY) |
1987 – 1988
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Keywords | 細菌外毒素 / 溶血毒素 / リポソーム / 膜障害 / ブドウ球菌α毒素 / 腸炎ビブリオ耐熱性溶血毒素 / ストレプトリジンO / ASO価測定法 |
Research Abstract |
(1)ブドウ球菌α毒素の膜障害作用をリポソームを用いて解析した。得られた結果から、(i)極性残基にコリンを有するリン脂質(:ホスファチジルコリンやスフィンゴミエリン)が、α毒素を特異的に結合する膜成分であること、(ii)膜に結合したα毒素の存在状態として、溶血活性を保持した可逆的結合状態と、溶血活性を失った非可逆的結合状態が存在すること、(iii)非可逆的結合状態への移行は、膜が流動的な状態(液晶状態)にある時にのみ進行するなどが明らかになった。 (2)腸炎ビブリオの重要な病原因子である耐熱性溶血毒素(TDH)のレセプターについて検討した。^<125>I標識したTDHを用いて、ヒト赤血球へのTDHの結合を測定した結果から、TDHとヒト赤血球の結合定数2×10^4M^<-1>、赤血球1個当りの最大結合数9×10^6であった。また、リポソーム膜に組み込んだガングリオシドGT1bによるTDH中和能を測定したところ、TDH1分子当り10^4分子のGT1bが存在しても、ほとんど中和反応は起らなかった。これらの結果は、ガングリオシドが赤血球膜のTDHレセプターであるとする従来の報告とは一致せず、TDHレセプターの分子種について再検討する必要があることを示している。 (3)ストレプトリジンO(SLO)の膜障害作用によってリポソームの内部マーカーが放出されることを利用して、血清中の抗ストレプトリジンO抗体価(ASO)定量法を開発した。検査室で頻繁に用いられているランツ・ランダル法の欠点は、用いるウサギ赤血球が不安定で保存できないこと、赤血球のSLO感受性がウサギ個体間で一定しないことである。これに対して、リポソームは安定で、しかも品質管理が容易である。新しい方法によって測定したASO価は、ランツ・ランダル法で得られた値とも良く一致している。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Umeda,M.;Tomita,T.;Shibata,H.;Seki,M.;Yasuda,T.: J.Clin.Microbiol.26. 804-807 (1988)
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[Publications] Tomita,T.;Watanabe,M.;Takahashi,T.;Kumai,K.;Tadakuma,T.;Yasuda,T.: Biochim.Biophys.Acta. 978. 185-190 (1989)
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[Publications] Tomita,T.;Watanabe,M.;Yasuda,T.: Manuscript in preparation.
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[Publications] Watanabe,M.;Tomita,T.;Yasuda,T.: Biochim.Biophys.Acta. 898. 257-265 (1987)
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[Publications] Tomita,T.;Tadakuma,T.;Tomochika,K.;Yasuda,T.: Jpn.J.Exp.Med.57. 141-144 (1987)
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[Publications] Itani,T.;Ariga,H.;Yamaguchi,N.;Tadakuma,T.;Yasuda,T.: Gene. 56. 267-276 (1987)
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[Publications] Yasuda,T.;Umeda,M.;Ishimori,Y.: "Nonisotopic Immunoassay Ed.by Ngo,T.T." Plenum Publishing Co., 11 (1988)
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[Publications] Tomita,T.;Kanegasaki,S.: "Cellular Chemiluminescence Ed.by van Dyke" CRC Press,Inc.,Florida,USA, 12 (1987)