1987 Fiscal Year Annual Research Report
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)ウイルスの遺伝子解析と持続感染機構の解明
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62480157
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 一也 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30072888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 泰弘 東京大学, 医科学研究所, 講師 (80109975)
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Keywords | SSPEウイルス / 遺伝子解析 / PーMmRNA / NPーL mRNA / 麻疹ウイルスts株 |
Research Abstract |
SSPEウイルス山形1株の遺伝子解析を行ない, M, NP, H遺伝子の全塩基配列を決定した. またF, L, P遺伝子に関しては現在解析中である. P+Mの遺伝子について解析したところ, P遺伝子の下流とM遺伝子の上流に変異が多くみられた. こうした変異はそれぞれ, RNA合成酵素のMーP部のreadーthrough, M蛋白変異の原因になっていると考えられた. 特に塩基配列からM蛋白はN末端が欠失した分子量の小さい蛋白であると推定されたので, M蛋白に対するモノクローナル抗体およびM蛋白のエピトープに対応する合成ペプチドに対する抗体を用いて解析した所, 山形1株感染細胞では分子量の小さなM蛋白が合成されていることが確認された. またcDNAライブラリー中, 最も多くみられたNPーLのmRNAについて, 全塩基配列を決定したところ, 2つのタイプに分類された. 一型はNPの部分が865bp, Lの部分が1293bpであり, 2型はNPの部分が187bp, Lの部分が1192bpであった. 蛋白のコーデイングフレームは, NP部分, L部分とも各々の遺伝子のopen reading frameが読み枠を変えないでつながっているので, 核酸配列上はNPーLの融合蛋白としてコードされていた. SSPEウイルスでは, このような新しい型のmRNAが合成されていることは全く報告されていない. 現在このmRNAおよび蛋白が実際に感染細胞中に存在するか否か, また持続感染に関連するか否かを調べている. その他, NP,H遺伝子の変異に関しては, それぞれの変異部位の生物学的意義を明らかにする目的で, 合成ペプチドの作成, モノクローナル抗体による解析を行なっている. また麻疹ウイルス温度変異株については, M蛋白に変異があると考えられる候補株が得られたので, この株について研究を進めている.
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[Publications] 築山恭子: Virology. 160. 48-54 (1987)
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[Publications] 山内一也: 免疫薬理. 5. 21-24 (1987)
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[Publications] 築山恭子: Virology. (1988)