1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480168
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
湊 長博 自治医科大学, 医学部, 講師 (40137716)
|
Keywords | マウス白血病ウイルス / 大顆粒リンパ球(LGL) / ナチュラルキラー(NK) / インターロイキン2 / インターロイキン3 / T細胞レセプター遺伝子 / 多能性幹細胞 |
Research Abstract |
正常ヒト及び動物リンパ系組織中のLGL/NK細胞は, IL2に反応して増殖し活性化されるがそれは通常一過性である. それに反して我々は, マウス白血病ウイルス(MLV)を感染させたマウス脾臓より, 試験管内IL2単独刺激培養により持続的かつ選択的LGLの増殖が認められ, 再現性をもってNK活性を有するLGL株を確立しうることを見出した. T細胞レセプター(TCR)遺伝子は, これらすべてのLGL株において再構築を示し, T細胞型LGLと考えられたが, 種々の検索によってもMLV遺伝子は検出されずMLV感染はないものと考えられた. ついで, MLV感染により脾臓中に選択的に大量のIL3が産生されること, IL3とIL2との連続刺激培養により正常マウス脾細胞からも同様のLGL株が確立されうることが判明し, 上記現象にはMLVそのものより, MLVによって誘導されたIL3が一義的に関与していることが強く示唆された. そこで, LGLの分化と増殖におけるIL3の役割を直接的に証明するため, 単細胞レベルでの実験を行った. 5FU前処置マウスの脾細胞をIL3と共にメチルセルロース培地で培養することにより, すべての造血細胞へと分化しうる多能性幹細胞(ブラスト)のコロニーが得られる. このIL3で誘導されたブラストコロニーを単離し, 一個一個をマクロファージとIL2と共に二次培養することによって, 一定の割合でLGLの分化と増殖が認められた. このLGLは, TCR遺伝子の再構築とCD3^+CD4^-CD8^-という特異な形質を示し, 機能的には明らかなNK様のキラー活性を示した. 以上の実験により, T細胞型LGLの少くとも一部が, IL3とIL2の共同作用により, 骨髄幹細胞より直接に分化誘導されうることが証明された. 次年度よりこの系を用い, LGL初期分化過程の分子遺伝学的解析を進めると共に, そのMLV感染における意義についても基礎的検討を加える予定である.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Tatsuo,Morita: Journal of National Cancer Institute. 78. 441-450 (1987)
-
[Publications] Akira,Takeda: Clinical and Experimental Immunology. 70. 354 (1987)
-
[Publications] Masakazu,Hattori: Journal of Experimental Medicine. 116. 833-849 (1987)
-
[Publications] Nagahiro,Minato: Journal of Experimental Medicine. 167. (1988)