1987 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝マーカーとDNA塩基配列の多型性を利用した本態性高血圧の遺伝・環境解析
Project/Area Number |
62480170
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田中 平三 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70047215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 正幸 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10189665)
土田 満 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00163824)
栗原 洋子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (50014105)
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Keywords | 遺伝・環境解析 / 本態性高血圧 / 脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット / アポリポ蛋白Bー100 / 血清脂質 |
Research Abstract |
本年度は, 次年度以降に予定されている本態性高血圧の遺伝要因の解析に先立ち, 遺伝子分析方法の開発に関する基礎的研究と高血圧モデルラットを用い, 裏付けとなる生化学的特性について検討した. 遺伝要因は, 本研究では脂質代謝に関与するリポ蛋白遺伝子領域の解析を主に行う予定である. これに用いるDNA塩基配列の多型性を利用するSouthernハイブリダイゼイション法は, 既に方法全体の技術検討を終えている. また, アポリポ蛋白Bー100を検出する為のプローブの作成および宿主のDNAを種々に長さの切断する制限酵素の選択を完了することが出来た. 生化学的特性については, 脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)と対照である正常血圧のウィスター京都ラット(WKY)の脂質代謝を初めとした生化学値の相違について, 生後より6ヵ月にわたる長期実験を行った. その結果, SHRーSPはWKYと比較して, 血清脂質で総コレステロール(Ch)値が観察した生後1ヵ月齢から6ヵ月齢まで有意に低く推移した. 低血清Ch, 高血圧者に脳卒中(特に脳出血)発生率が高いという疫学的知見と一致をみている. 更に, 分画中VLDLおよびHDLーChの占める割合が高い等種々の注目される特徴も認められ, SHRーSPにおいては脂質代謝系に遺伝的な異常があることを度認した. また, カテコールアミン・カリクレイン等の血圧調節因子も, 生後1ヵ月から尿中排泄量の増加をきたし, 同時にNa貯留もみられた. 高血圧発症機序における交感神経系, また体液性因子の関与が示唆される. その他, タウリン等含硫アミノ酸を含め23種類のアミノ酸尿中排泄量の動向も観察しており, 現在結果につき解析中である, この様に次年度以降の高血圧の遺伝解析に対し非常に興味ある生化学的成績を得ている.
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