1989 Fiscal Year Annual Research Report
混合暴露によるn-ヘキサンの神経毒性の修飾とその機序に関する実験的研究
Project/Area Number |
62480171
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 康浩 名古屋大学, 医学部, 教授 (90022805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 雄一郎 名古屋大学, 医学部, 講師 (80135334)
久永 直見 名古屋大学, 医学部, 講師 (90111856)
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Keywords | n-ヘキサン / 尿中代謝物 / 2、5-ヘキサンジオン / トルエン / 神経毒性 / 神経特異蛋白 / γ-エノラ-ゼ / S-100蛋白 |
Research Abstract |
n-ヘキサンは生体内で代謝されて、神経毒性の強い2、5-ヘキサンジオンが生成することが知られている。我が国でも、今年度からn-ヘキサンの曝露の指標として、尿中2、5-ヘキサンジオンが測定されることになった。しかし、最近,尿中に排泄される2、5-ヘキサンジオン自体の量は少なく、大部分は4.5-ジハイドロキシヘキサノンがグルクロン酸抱合されて排泄されること、酸による前処理によって、2、5-ヘキサンジオンが生成することが明らかにされた。そこで、従来のn-ヘキサンの尿中代謝物の測定法の再検討を行い、以下のことを明らかにした。1)酸による前処理時のpHによって2、5-ヘキサンジオンの量が著しく変化し、pHが大きいと2、5-ジメチルフランが多く生成し、pHが小さいと2、5-ヘキサンジオンが多く生成する。そのために、従来のpH2では不安定で、pH1以下にすると安定した値が得られること、n-ヘキサンに曝露されていない人の尿中にも2、5-ヘキサンジオンが検出さたという報告もあるが、ガスクロの適切なカラムの選択によって,正常者の尿中にはほとんど検出されないこと、我々の方法による尿中2.5-ヘキサンジオン量はn-ヘキサン曝露量とよく相関することを明らかにした。2)有機溶剤中毒時の中枢神経の影響の評価法について、中枢神経毒性の知られているトルエンを用いて、その曝露による神経特異蛋白γ-エノラ-ゼ、S-100蛋白、クレアチンキナ-ゼの変化を大脳、小脳、脳幹部で検討し、これらが中枢神経の変化の指標として有用であることを示した。3)新しい有機溶剤曝露装置については、n-ヘキサンとトルエンでは所期の目的を十分に達成できたが、MEKでは部品の一部に予期しなかったトラブルが生じ、n-ヘキサンとMEKの長期混合曝露実験は余儀なく中断したが、その原因の究明と装置の改良によって実験を再開し、現在実験を継続中である。
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[Publications] HUANG,J.: "EFFECTS OF CHRONIC N-HEXANE EXPOSURE ON NERVOUS SYSTEM-SPECIFIC AND MUSCLE-SPECIFIC PROTEINS" ARCH TOXICOL. 63. 381-385 (1989)
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[Publications] SHIBATA,E.: "CHANGES IN URINARY N-HEXANE METABOLITES BY CO-EXPOSURE TO VARIOUS CONCENTRATIONS OF METHYL ETHYL KETONE AND FIXED N-HEXANE LEVELS" ARCH TOXICOL.
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[Publications] HUANG,J.: "EFFECTS OF SUBACUTE TOLUENE EXPOSURE ON NEURONAL AND GLIAL MARKER PROTEINS IN RAT BRAIN" TOXICOL.
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[Publications] SHIBATA,E.: "EFFECTS OF MEK ON KINETICS OF N-HEXANE METABOLITES IN SERUN" ARCH TOXICOL.
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[Publications] TAKEUCHI,Y.: "AN AUTOMATED SOLVENT EXPOSURE SYSTEM FOR SMALL LABORATORY ANIMALS" ARCH TOXICOL.