1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトDuchenne型進行性筋ジストロフィー症の病因・病態の解明-特にアデニレートキナーゼを指標として-
Project/Area Number |
62480175
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
濱田 稔 宮崎医科大学, 医学部・衛生学, 教授 (90039529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上杉 晴一 大阪大学, 薬学部・薬化学, 助教授 (70028851)
竹中 均 宮崎医科大学, 医学部・衛生学, 助手 (10179658)
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Keywords | アデニル酸キナーゼ / 合成遺伝子 / 部位特異性変換 / タンパク質工学 / 基質酵素の結合部位 |
Research Abstract |
初年度までにヒト骨格筋細胞質に局在するアデニル酸キナーゼ(hAK_1)のアミノ酸一次構造にもとづく遺伝子(DNA)の塩基の人工合成に成功し、それをtrpプロモーターで大腸菌に発現させることができた。今年度は人工合成遺伝子の産生物であるhAK_1酵素の大量迅速精製方法の確立を図り、超音波処理、ホスホセルロースカラムクロマトの僅か2段階精製の過程でもってSDS共存下ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって単一の酵素タンパク質にまで純化することができた。そこで筆者の一人(MH)が本酵素の二つの基質の結合部位に関する詳細な酵素化学的データを提示していること、さらに近年この方面の研究でX線回折、NMR解析のデータも報告されていることから、より詳細な基質との相互作用を究明するため、遺伝情報の変換つまり、部位特異性変異を行い、自然に得られる酵素の変異型、基質結合に必須なアミノ酸残基の変換を行って変異型酵素の基質結合を調べることによって、必須残基との相互作用の解明を行うための実験から下記のような成果を得た。N端から95番目のTyrをPheに、また97番目のArgをAlaに変換したそれぞれY95FhAK_1、R97AhAK_1を得るためのDNAをcassette mutagenesisによって構成し、ヒト成長ホルモン遺伝子プラスミドの同じ制限酵素の切断部位に挿入し、両変異酵素を純粋に得た。recombinant酵素(wild type)、Y95FそしてR97Aのmutant typeにおいて、速度論的解析を行った。wild typeの比活性はnativeのものと殆んど同一で、Y95FhAK_1はrecombinantのwild typeより比活性は僅か大きかった。しかしR97Aはwild typeの約4%の活性を保持していることが判明した。従って97番目のArg残基は本酵素の触媒発現には必須ではなく、95番目のTyrはPheに変換しても無影響であった。しかもこれらの残基はMgATP基質との結合にとって必須なものというより、その結合部位より離れて存在するものと考えられる。上記の諸成果は、Prot.Engineer.誌(1989)上に掲載された。(添付別刷)
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[Publications] 金曉駿,徳冨由以子,西川諭,田中俊樹,上杉晴一,竹中均,濱田稔: 生化学. 60(8). 740 (1988)
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[Publications] Kim.H.J.;Nishikawa S.;Tanaka T.;Uesugi S.;Takenaka H.;Hamada M.;Kuby. S.A.: Prot.Engineer. 2. 379-386 (1989)