1987 Fiscal Year Annual Research Report
生活環境因子の影響による造血機能とくにポルフィリン代謝の変化に関する研究
Project/Area Number |
62480176
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
工藤 吉郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (10081655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大江 敏恵 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (70185198)
坂口 武洋 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (80050657)
中村 磐男 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (30081657)
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Keywords | 生活環境因子の影響 / ポルフィリン代謝 / 実験的皮ふ炎 / all outまでの運動負荷 / 低濃度の鉛職場 |
Research Abstract |
我々の生活環境内には種々の有害因子がある. 農薬を含む数万にも及ぶ化学物質が人に対して直接または問接的な有害作用とくに中毒の原因になりうること衆知の通りである. その中でとくに造血系を害するものも少なくない. 第1年度の62年は, 先ず, 実験動物を用いた基礎的研究と見かけ上健康ないわゆる健康者, 有害物が許容濃度以下の職場で働く産業労働者それに過激な運動を行う前後の正常な健康人などについて, おもに尿中ポルフィリン代謝物の変化の有無を高速液体クロマトグラフを用いて精査した. その結果, (1)家兎の背中に皮ふ炎(カミソリによる擦過傷あるいはクロトン塗布による炎症)を作り, 鉛投与の場合と尿ポリフィリンとくにコプロポルフィリン排泄の有無を比較した. 皮ふ炎を作った群では鉛投与群と比較するとその排泄で量的差はみられたものの皮ふ炎の状態の消調とほぼ比例の傾向を認めた. (2)健康な女子学生をトレッドミルによる定速歩行(80m/min), 傾斜角漸時増(2.5%/2min)で歩行継続不能いわゆるall outまで運動負荷してその前後の血液細胞組成とポルファリン代謝の変化の有無を精査した. 血液組胞組成のうち, とくに白血球数の変動(運動負荷によるall out直後では6.20±1.37から10.36±2.35となり, その30分後には再び運動負荷前とほぼ同値になった)と尿ポルフィリンではとくにコプロポルフィリンIIIの変動(運動負荷前の値を100にした場合, all out直後114.18±40.72, 30分後205.05滿101.94で, all out直後よりもむしろ30分後の方の値が大)が認められた. (3)鉛職場ではあるが管理の行き届いた工場で働く労働者について鉛健診時に尿ポルフィリン代謝物質増量の有無を精査した. 貧血・血中鉛量などいわゆる鉛健診では全く正常値を示してにもかかわらず, 尿コプロポルフィリンIIIが40μg/l以上のものが17.5%も認められた. このことは鉛の影響をより詳細に検討する必要性を示唆している.
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