1988 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシンおよびダイベンゾフランの毒性と宿主の感受性
Project/Area Number |
62480179
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長山 淳哉 九州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90136466)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 昭夫 産業医科大学, 教授 (80122852)
半田 純雄 九州大学, 医学部, 助教授 (50037503)
清原 千香子 九州大学, 医学部, 助手 (00169963)
|
Keywords | タイオキシン / ダイベンゾフラン / AHH応答性 / 中毒作用発現メカニズム |
Research Abstract |
Ah応答性の3系統のマウス(C57BL、C3H、BALB)およびAh非応答性の3系統のマウス(DDD、AKR、DBA)を用いて2,3,4,7,8ー四塩化ダイベンゾフラン(PenCDF)の毒性とAh応答性との関係について研究した。60μg/kgのPenCDFを2週間に1回(計6回)腹腔内投与後、各種の毒性指標の測定等を行った。本年度の研究結果を要約すると下記のようである。(1)体重、臓器重量の変化:屠殺時の体重はC57BL、C3HおよびAKRでPenCDF投与により有意に低下した。PenCDF投与により、肝臓重量はC57BL、BALB、AKRおよびDBAで有意に高く、また胸腺重量はAh応答性の3系統およびDBAで有意に低くなった。肺臓、腎臓などでも有意な重量の変化が観察されている。(2)芳香族炭化水素水酸化酵素(AHH)活性、サイトクロームPー450(Pー450)の変化:肝臓、肺臓、腎臓のAHH活性を測定した。PenCDF投与により、すべての系統の各臓器でAHH活性が有意に上昇した(6〜126倍)。とくに腎臓では、Ah応答性系統のほうがAh非応答性系統よりも酵素活性の上昇が顕著であった。C3HとDDDのPー450に関する研究では、対照群にはLM3CおよびLM4に相当するPー450が存在し、TCDD投与によりLM6に相当するPー450がきわめて優先的に誘導されることが示唆された。(3)血液リンパ球数の変化:全リンパ球数はC57BLとDDDでPenCDF投与により有意に減少した。いずれの系統でも、PenCDF投与によるTリンパ球数の有意な変化は観察されなかった。C57BLとDDDでは、PenCDF投与により、Bリンパ球数が有意に減少していた。この両系統では、PenCDFはリンパ球系により強く作用している。(4)病理・組織学的な変化:PenCDF投与による明らかな病理・組織学的な変化は肝臓においてのみ認められた。肝臓の脂肪変性はAh応答性の3系統のマウスにのみ観察され、肝細胞壊死はC57BLとC3Hにおいて、また細胞分裂指数の有意な上昇と胆汁うっ滞はC3Hにおいてのみ認められた。
|
-
[Publications] 長山淳哉 他: 福岡医学雑誌.
-
[Publications] J.NAGAYAMA;et al.: Chemosphere.
-
[Publications] J.NAGAYAMA;et al.: Chemosphere.