1988 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球の分化におけるABO式血液型抗原発現程度と血液型物質合成酵素量
Project/Area Number |
62480185
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
辻 力 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50073680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 章彦 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60136611)
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Keywords | 赤血球 / 分化 / ABO式血液型抗原 / 血液型物質合成酵素 |
Research Abstract |
本研究は、赤血球の分化過程におけるABO式血液型物質の生合成機構の解明を目的として行われている。 本年度は、前年度にひきつづき、骨髄細胞からのより多量の多能幹細胞の分離を試みた。その結果、BFU-E由来のやや幼弱な赤芽球を含む極めて大きいコロニー(バースト)の数は前年度に比して多少多くなった。そのバースト構成細胞に、多能幹細胞に特異な抗原に対する抗体を作用させ、セルソーターで多能幹細胞の分離を行ったところ、この抗体で染色される細胞の存在が確認された。しかしその多能幹細胞の数が極めて少く、本研究計画の多能幹細胞の培養および培養細胞の分化過程段階の同定、さらには、各分化段階細胞中の血液型物質合成酵素の免疫化学的定量を行うには極めて困難な状態である。 したがって、今までの方法で培養可能な量の多能幹細胞の分離を行うとともに、前年度得た結果であるバーストの構成細胞は形態学的に正染性赤芽球までの分化過程までの分化過程の細胞であることに着目し、バースト細胞から作製した顕微鏡標本上の細胞にサポニン処理を施したのち、抗A酵素抗体を作用させることにより、各分化段階中の細胞の血液型物質合成酵素量の検討を行い、また同時に、バースト細胞の電子顕微鏡標本を作製、ゴールドコロイド標識ABO式血液型抗体を用いて、各分化段階細胞の血液型抗原数を検討しているが、未だ満足すべき結果が得られていない。 以上が本年度の研究実績であり、極めて不本意なものであったが、骨髄液を多量に入手出来れば、十分本研究完成の可能性があるものと考えられ、現在骨髄液収集に努力をはらうとともに、前記二方法による検索に鋭意努力をしている段階である。
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