1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480196
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
井上 正規 広島大学, 医学部附属病院総合診療部, 助教授 (80127612)
|
Keywords | ペプシノ-ゲン分泌 / 細胞内刺激伝達系 / CAMP / 細胞内遊離Caイオン / 一方向性御システム / オメプラゾ-ル / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
カエルの単離pepsinogen腺房細胞におけるpepsinogen(PG)分泌時の細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)変化と、胃底腺細胞膜のK^+channel細胞内電位の測定を行い、以下の成績を得た。 単離PG腺房細胞において、adrenergic作動性刺激では変化を認めなかったが、choline作動性刺激及びbombesin(BB)刺激により、PG分泌に対応する用量依存性の[Ca^<2+>]iの増加が観察された。この[Ca^<2+>]iの増加は刺激直後に急峻に増加し以後漸減(第1相)し、その後刺激前より僅かに高値で平衡に達する(第2相)二相性を示した。BB刺激の直後には、choline作動性刺激BB刺激共に[Ca^<2+>]iの増加を認めず、choline作動性刺激の直後には、BB刺激にのみ[Ca^<2+>]iの増加が見られた。EGTAにより細胞外Ca^<2+>を除去すると、[Ca^<2+>]iの第1相の増加は保たれたが[Ca^<2+>]iの第2相の増加は消失し、BAPTA/AMにより細胞内Ca^<2+>を除去すると第1相の増加が消失した。これらの成績は、choline作動性刺激及びBB刺激によるPG分泌と減感作現象が[Ca^<2+>]iにより調節を受けていることを示唆すると考えられた。 単離胃底腺細胞において、非刺激時、DBcAMP及びhistamine存在下で活性化される30ー35psのconductance(C)を有するchannelと、choline作動性刺激、A23187で活性化される50ー55psのCを有するchannelが観察され、双方ともK^+に高い選択性が認められた。これらのchannelの整流作用にMg^<2+>が関与し、さらにomeprazoleにより濃度依存的に抑制された。これらの成績より、胃底腺細胞のK^+channelは細胞の静止電位の維持に働くと同時に、分泌現象と関連を有することが示唆された。
|
-
[Publications] T.Shirakawa,B.I.Hirschowitz: "Interaction between stimuli and their antagonists on pepsinogen secretion from frog esophageal peptic glands" Am.J.Physiol.250. 668-673 (1986)
-
[Publications] T.Shirakawa,B.I.Hirschowitz: "Cellular messengers of stimulants of pepsinogen secretion from frog esophageal mucosa." Am.J.Physiol.250. 361-368 (1986)
-
[Publications] T.Shirakawa,B.I.Hirschowitz: "Seasonal fluctuations in pepsinogen secretion from frog esophageal peptic glands." Am.J.Physiol.250. 484-488 (1986)
-
[Publications] 井上正規、梶山梧朗他: "カエル食道粘膜からのペプシノ-ゲン分泌に関する基礎的検討" 日本消化器病学会雑誌. 83. 608-618 (1986)
-
[Publications] 白川敏夫、井上正規、梶山梧朗他: "Omeprazoleの酸、並びにペプシノ-ゲン分泌に及ぼす影響に関する検討" 胃分泌研究会誌. 20. 117-120 (1988)
-
[Publications] 井上正規: "ペプシノ-ゲン分泌に関する実験的研究ーbiologically active peptideの影響についてー" 第30回ペプシン研究会記念シンポジウム「ペプシン・抗ペプシン剤の臨床」. 123-136 (1988)
-
[Publications] 井上正規: "消化管ホルモン(7)" 医学図書出版, 8 (1987)
-
[Publications] 白川敏夫、井上正規、梶山梧朗他: "プロトンポンプ・インヒビタ-をめぐる諸問題" 日本医学館, 5 (1989)