1988 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞がん発生過程における肝細胞表面抗原のモノクローナル抗体を用いた解析
Project/Area Number |
62480199
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森實 敏夫 慶應義塾大学, 医学部・内科学, 専任講師 (20129703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩渕 直人 慶應義塾大学, 医学部・内科学, 助手 (90168592)
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Keywords | 肝細胞癌 / モノクローナル抗体 / 癌化 / 血清診断 / 腫瘍特異抗原 / 肝特異抗原 |
Research Abstract |
ヒト肝細胞に特異的なマウスモノクローナル抗体H2の認識する抗原をhuman liver-specifrc antigen1(HLSA1)と名付けたが、HLSA1は肝組織ホモジネート超遠心上清をセファローズ等を用いたカラムクロマトグラフィーで分画しても、また、TSKgel2000等を用いた高速液体クロマトグラフィーで分画しても、第一ピークに流出し、大きな分子塊をなくして存在することが示された。一方、H2モノクローナル抗体を固相したセファローズビーズにより分離されたHLSA1分子はSDS-PAGEにより分子量15000ダルトンであることが示され、通常のバッファー中ではこの小ユニットが多数結合した形で存在することが示唆された。ヒト肝細胞癌株HCC-Mをヌードマウス皮下に移植して得られた腫瘍の超遠心上清を分画した際にも、第一ピークにH2モノクローナル抗体抗体に対する反応性が認められ肝癌細胞においてもHLSA1は大きな分子塊を形成しやすい状態であることが推察された。 HLSA1の測定のためH_2モノクローナル抗体と抗HLSA1抗体(家兎)を用いたアッセイを開発した。血中HLSA1濃度は慢性肝炎では健常者と有意差を認めず、肝硬変、肝細胞癌では高値を示した。特に、肝硬変に比し肝細胞癌で有意に高く、肝硬変症の平均+2標準偏差を越えるものが約20%認められ、肝細胞癌の血清診断に有用であることが示された。 一方、1H-9モノクローナル抗体の対応抗原は、正常肝細胞に比し、肝癌細胞で約10倍に増加していると考えられる成績を得たので対応抗原濃度を測定するためのアッセイを開発した。その結果肝細胞癌26例中9例が高値を示し、慢性肝炎、大腸癌、胃癌では全例低値であった。肝硬変症10例中1例で高値を示した。従って、このアッセイも、肝細胞癌の血清診断に有用と考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 斉藤英胤 他: 日本消化器病学会雑誌. 84. 675-683 (1987)
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[Publications] Hidetugu Saito 他: Cancer. (1989)
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[Publications] Toshio Morizawa 他: (1989)
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[Publications] Itsurou Satoh 他: "Viral Hepatitis and Hepatocellnlar Carcinoma" Asia and Pacific Council for Science and Technology(Republic of Cluna), 139-153 (1988)