1989 Fiscal Year Annual Research Report
老年者呼吸器感染症の発症機序と至適治療に関する研究
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62480202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福地 義之助 東京大学, 医学部(病), 助教授 (80010156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長瀬 隆英 東京大学, 医学部(病), 教務職員
松瀬 健 東京大学, 医学部(病), 助手 (90199795)
石田 喜義 東京大学, 医学部(病), 助手 (90184530)
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Keywords | 嚥下性肺疾患 / 嚥下誘発テスト / 15HETE / フリ-ラジカル / エンドセリン |
Research Abstract |
1)誤嚥のリスクを早期に検出するために開発した嚥下誘発テスト(SPT)について、さらに検討を進めた結果、以下の点が明らかになった。 (1)注入液として試みた5種類の溶液の中で、注入-嚥下潜時との間に用量依存関係がみられるのは蒸留水と50%ブドウ糖であった。 (2)若年健康志願者18名について喫煙とSPTの関連を検査した。喫煙者では潜時の延長嚥下國値の上昇が観察された。最大注入量1.0mlまでは若年者では誤嚥はみられなかった。 (3)仰臥位では坐位に比較して同一注入量に対する潜時が延長している傾向があった。 (4)諸種神経疾患、糖尿病などで、SPTで多様な異常が観察できた。 2)若SPTラット(10週齢)と老SPTラット(29ヶ月齢)にクレブシエラ菌を噴霧吸入させて実験的肺炎を惹起せしめた。清肺湯3週投与群と非投与群との対比も併せて施工した。デ-タ解析中である。 3)ラットの気管内塩酸注入モデルについてステロイド投与の効果を、気管支肺胞洗滌(BAL)液とその細胞を用いて検討した。その結果、同剤によりBAL細胞からO_2フリ-ラジカルの放出は有意に抑制され、BAL液の炎症マ-カ-である15HETE濃度も減少することが認められた。 4)血管内皮細胞から産生されるエンドセリン(ET1)は気管支筋収縮など肺への影響も大である。ラットにET1を1回静脈内注射しBALにより肺末梢部に及ぼす効果を研究した。その結果ET1は同部の15HETE,O_2フリ-ラジカルの産生を促進することが判明した。 これらの研究結果から、誤嚥性肺炎について、予防のための体位、ステロイド投与の効果、炎症マ-カ-の把握などの点で、臨床応用が期待される。
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[Publications] 福地義之助、松瀬健 他: "シンポジウム2 6感染 -びまん性嚥下性細気管支炎の臨床-" 日本胸部疾患学会雑誌. 27. 571-577 (1989)
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[Publications] 長瀬隆英,福地義之助 他: "喫煙負荷と肺胞気道系エイコサノイド代謝 -気管支肺胞洗浄液中の15-hydroxyeicosatetraenoic acidと11-dehyoldrothromboxaneB_2の変動" 日本胸部疾患学会雑誌. 27. 1193-1197 (1989)
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[Publications] T.Nagase,Y.Fukuchi,T.Matsuse et al.: "REDUCTION OF 15-HYDROXYEICOSATETRAENOIC ACID(15-HETE)IN TRACHEAL FLUID BY HIGH FREQUENCY OSCILLATORY VENTILATION" PROSTAGLANDINS LEUKOTRIENES AND ESSENTIAL FATTY ACIDS. In Press.
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[Publications] T.Nagase,Y.Fukuchi,et al: "ENDOTHELIN-1 STIMULATES ARACHIDONATE 15-LIPOXYGENASE ACTIVITY AND OXYGEN RADICAL FORMATION IN THE RAT DISTAL LUNG" B.B.R.C.
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[Publications] Y.Uejima,Y.Fukuchi,T.Matsuse,T.Nagase,et al.: "EFFECTS OF REPETITIVE INTRATRACHEAL ADMINISTRATION OF HYDROCHLORIC ACID ON RAT LUNG EXPOSED TO TOBACCO SMOKE" THE EUROPEAN RESPIRATORY JOURNAL.