1988 Fiscal Year Annual Research Report
超音波ドプラ法による冠動脈血流の直接評価とその臨床応用
Project/Area Number |
62480222
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
仁村 泰治 国立循環器病センター, 研究所, 所長 (50028320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 敏 国立循環器病センター, 研:循環動態機能部研究員 (30198121)
国立循環器病センター, 病:総合外来科医員
国立循環器病センター, 病:第五循環器科医長
別府 慎太郎 国立循環器病センター, 研:循環動態機能部室長 (40113500)
宮武 邦夫 国立循環器病センター, 病院, 第一循環器科医
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Keywords | 冠動脈血流の検出 / 超音波パルス・ドプラ法 / 冠動脈血流流速測定 |
Research Abstract |
冠動脈疾患の病態重症度や臨床薬効の評価に際しては冠血流動態を解析することが重要である。本研究者らは超音波ドプラ・エコー法を用い冠動脈血流計測を試みてきた。本年度は、経食道アプローチにより冠動脈血流評価を試みた。対象例は各種心疾患患者39例である。経食道ドプラ・エコー装置は外径9.8mmの胃カメラ先端に超音波探触子(3.75MHz)を設置した食道探触子を断層エコー・パルスドプラ複合装置、東芝SSH-60A、65Aに接続したものである。超音波走査断面は探触子長軸に対して直角方向となるよう設定した。被検者は心臓手術後の麻酔挿管下であり、3例では血行動態維持のため大動脈内バルンパンピングが施行されていた。仰臥位にて食道探触子を挿入の後、大動脈付近で冠動脈を検索した。次いで描出された左前下行枝近位部ないし、右冠動脈近位部中央にサンプルボリュームを設置し、パルスドプラ法による血流解析を行った。左冠動脈主幹部ないし、前下行枝近位部は39例中30例(77%)で描出可能であり、これらの症例全例で冠血流が描捉し得た。拡張期最大血流速度を計測したところ40±14cm/sec(平均±標準偏差)との成績を得た。一方右冠動脈においては10例(26%)でのみその評価が可能であった。大動脈内バルンパンピング作動中の冠血流速を計測したところ、パンピング作動中の拡張期体血圧の上昇に一致して冠血流速も有効に増大することが明らかになった。今回の検討により、経食道アプローチを用いれば左冠動脈近位部についてはかなりの頻度で血流評価が可能であることが明らかとなった。右冠動脈はその解剖学的関係から現在のところ検出率は低い。しかし、将来探触子の改良、例えば走査断面を任意に設定可能な探触子の使用が可能になれば、本血管の評価をもさらに容易になろう。
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[Publications] Miyake.K,et al: Journal of Clinical Ultrasound. 16. 471-481 (1988)
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[Publications] Yamagishi.M,et al: The American Journal of Cardiology. 62. 641-644 (1988)