1989 Fiscal Year Annual Research Report
TSH受容体抗体の特性解析と甲状腺発生分化、機能に及ぼす影響についての研究
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62480223
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松浦 信夫 北海道大学, 医学部, 助教授 (50002332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤枝 憲二 北海道大学, 医学部付属病院, 助手 (60173407)
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Keywords | TSH受容体抗体 / TBII / TSAb / TSBAb / クレチン症 / クレチン症マススクリ-ニング / バセドウ病 / 尿中ヨ-ド |
Research Abstract |
1.ラット甲状腺細胞FRTL-5細胞を用いてTSH受容体抗体の解析と甲状腺疾患の病態における意義について検討した。 1)クレチン症の病因としての意義。クレチン症の発症に母体血中抗甲状腺自己抗体が関与しているとのとの報告がある。そこでクレチンを出生した母親の検討を行った。TSH受容体阻害抗体(TBII&TSBAb)活性は何れの母親にも証明できなかった。またヨ-ド取り込みについても検討を行ったが、ヨ-ド取り込みを阻害する活性は認められなかった。 2)バセドウ病の病因としての意義。未治療バセドウ病および治療経過後の変化、治療中止時にTSAb,TBII活性を測定しその意義について検討した。未治療時にはTSAb,TBII共にほぼ100%活性が証明された。治療後の活性の変化は個々の病例により異なり、早期に活性が低下、陰性化する例は寛解に入りやすいことが明らかになった。治療中止の基準としてT_3抑制試験、抗体活性を.比較したところ、TS-Ab活性が最も予後の指標として有用であることが明らかになった。 2.北海道におけるクレチン症マス-スクリ-ニング、札幌市および北海道におけるスクリ-ニングも開始後10年が経過した。そこで現在までの発症率、病型、予後等について集計発表した。Population-baseのデ-タがまだわが国にないことから、わが国を代表する資料になるものと思われる。すなわち416,740名がスクリ-ニングを受け、うち244名(0.059%)が精検の対象になり、クレチン症70例、中枢性クレチン症1例、一過性甲状腺機能低下症29例、一過性高TSH血症25例が各々診断された。クレチン症の発症率は約1:6000であった。 3.ヨ-ドとクレチン症マススクリ-ニング、わが国ではヨ-ド摂取量が多く、諸外国のようなヨ-ド欠乏に伴う問題はない。しかしクレチン症マススクリ-ニングにおいてしばしば病院間で精検率が大きく異なることが問題となっている。そこで病院間のの差を明らかにする目的で、母親の尿、母乳、児の尿中ヨ-ドを定量し、分娩時での消毒法、栄養方による差を検討した。この結果ヨ-ドによる消毒を行っている病院でかつ母乳栄養を行っている児の尿中ヨ-ドが有意に高く、また濾紙血TSH値も高いことが明らかになった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 原田正平: "北海道(札幌市を除く)におけるクレチン症マス・スクリ-ニング" 臨床小児医学. 37. 171-178 (1989)
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[Publications] 中島博徳: "マス・スクリ-ニングで発見された先天性甲状腺機能低下患児における精神神経学的予後全国調査成績" 日本小児科学会雑誌. 93. 2011-2016 (1989)
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[Publications] 原田正平: "札幌市におけるTSH-T_4測定におけるクレチン症マス・スクリ-ニング" 日本小児科学会雑誌. 93. 2742-2749 (1989)
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[Publications] Nobuo Matsuura: "The prediction of thyroid function in infants born to mothers with chronic thyroiditis." Endocrinologia Japonica. 36. 865-871 (1989)
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[Publications] Nobuo Matsuura: "Comparision of atrophic and goitrous auto-immune thyroiditis in children:chinical,laboratory and TSH-receptor antibody study" Europian J.of Pediatrics. (1990)
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[Publications] Nobuo Matsuura: "Transient hypothyroidism in infants born to mothers with chronic thyroiditis-A nationwide studies of twenty-three cases." Endocrinologia Japonica. (1990)
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[Publications] Nobuo Matsuura: "Transient hypothyroidism in infants due to maternal TSH-receptor blocking antibodies-Character of IgG and longterm prognosis of their infants.in reserch in congenital hypothroidism.F Delange,DA Fisher,D Glinoer edited." Pleum press, p111-122 (1989)
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[Publications] Nobuo Matsuura: "TSH-receptor antibodies in mothers with autoimmune thyroid disease and outcome in their offspring.in Progress in Thyroidology 1989.M Lee,C-S Koh,J Eastman,S Nagataki edited" Korea Medical Publishing Company, p123-126 (1989)