初期リンパ球の発生と分化

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 62480231
• Research Institution: The National Children's Hospital
• Principal Investigator: 小林 登 国立小児病院, 院長 (50009916)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 中山 雅之 国立小児病院, 小児医療研究センター免疫研究室, 研究員 ; 水谷 修紀 国立小児病院, 小児医療研究センターウイルス研究室, 室長 (60126175) ; 岩谷 誠 国立小児病院, 小児医療研究センター細菌研究室, 室長 (10191909) ; 秦 順一 国立小児病院, 小児医療研究センター病理研究室, 部長 (90051614)
• Keywords: Ig遺伝子 / CALL / リン酸化チロシン / 胸腺内細胞複合体 / B細胞分化 / T細胞分化

Research Abstract

リンパ球初期分化過程に関する研究を目的に小児急性リンパ性白血病を用いて細胞生物学的、分子生物学的研究を行った。
Bリンパ球の初期分化過程研究の指標としてイムノグロブリン重鎖遺伝子の構造解析を行った。従来の分化抗原による分類とは異り、Bリンパ球の本来的使命であるイムノグロブリン産生をつかさどる同遺伝子の構造が最もよくBリンパ球の分化レベルを反映していると考えられたからである。その結果分化抗原による分類でstageII、IIIを示すものの中にIg遺伝子の胎児型と示すものを2例発見し、さらにIg遺伝子J_H領域が欠損するabortiveB前駆細胞型とも呼ぶべきグループを発見した。
未熟B細胞型白血病(Comman ALL)12例について抗リン酸チロシンモノクローナル抗体を用いてリン酸化チロシンの有無について検討した。その結果5例に本抗原の陽性所見を得た。これらは染色所見により2種に分類された。即ち主として細胞膜に陽性となる症例(2例)と細胞室に陽性となる症例(3例)である。これらの結果は異なる作用機序をもつチロシンキナーゼの存在を示唆しているが、このような解析を通して通常B前駆細胞の増殖、分化に関連するチロシンキナーゼを同定できるものと期待している。
In vivoでT細胞と複合体で構成するThymic Nurse Cellとマクロファージを分離し、結合するTリンパ球の分化抗原を検索した。TNC内に存在するTリンパ球はL_3T_4、Lyt_2 double positiveが主体で、double negative cellも認めた。マクロファージとロゼットを形成するTリンパ球はL_3T_4single positiveでdouble positiveが主体を占めた。これらの結果、間質細胞の種類によって結合する胸腺Tリンパ球の分布に差が認められることが明らかになった。

Research Products

• [Publications] 水谷修紀 他: Y.Kaneko/S.Mizutani/etal: Blood. Annual Review血液1989. 72(2). 1989. 534-538 (1988)(102-107)
• [Publications] K.Nonoyama/M.Nakayama: Y.Kaneko/S.Mizutani/etal: Eur.J.Immuual. Blood. 73(3). 806-813 (1988)
• [Publications] S.Mizutani/et al: Modern Treands in Human Leukemia VIII.
• [Publications] 水谷修紀: BIOmedica. 3(12). 52-56 (1988)
• [Publications] 水谷修紀 他: 小児科診療. 51(2). 222-227 (1988)
• [Publications] 水谷修紀: Modern Physician. 9(2). 137-139 (1989)
• [Publications] Fujimoto,J./Ishimoto,K./Kiyokawa,N./Tanaka,S./Ishii,E./Hata,J.: Hybridoma. 7(3). 227-236 (1988)
• [Publications] Fujimoto,J./Hata,J/Ishii,E./Kiyokawa,N./Tanaka,S./Morikawa,Y./Shimizu,K./Hajikanao,H: Virchows Archiv A.412. 307-314 (1988)
• [Publications] Goto,H./Sagami,T./Hata,J/Shiroishi,T./Morikawa,K.: Endocrinology. 123 (4). 1923-1927 (1988)
• [Publications] Nakazono,M./Shibayama,T./Nakayama,M/Ohsawa,A/Hata,J: Jpn.J.Fertility ＆ Sterility. 33 (1). 138-143 (1988)
• [Publications] Shinoda,M/Tsutsumi,Y./Hata,J/Yokoyama,S.: Archives of Pathol.Lab.Med.112. 1115-1158 (1988)
• [Publications] Tanaka,S./Fujimoto,J./Ishii,E./Hata,J: Cancer Research.
• [Publications] 秦順一: "播種性好酸球性膠原病新小児医学体系22B、小児膠原病学II:211-220鴨下重彦△編" 中山書店, 10 (1988)
• [Publications] 秦順一: "心不全と病理学的変化小児科MOOK55巻浦野順文 編" 金原出版, 7 (1988)
• [Publications] 中山雅之: "免疫学用語事典" 最新医学社, 494 (1988)