Research Abstract |
1.多形滲出性紅斑の病巣辺縁部, 中央褪色部, 周辺健常部を生検し, 我々の作成した抗ランゲルハンス顆粒特異抗体(Lag), OKT6, OKT8, Leu3a, HLAーDRなどの各種モノクロナール抗体で染色した. その結果, 真皮では, 病変の活発な病巣辺縁部でhelper/inducer T細胞が著明に浸潤し, 中央褪色部では, suppressor/cytotoxic T細胞が増加すること, また表皮では, 病巣辺縁部で, ランゲルハンス細胞が増加し, 中央褪色部では, 表皮細胞表面にIaの抗原が誘導されることが分った. 2.MRL/lマウスの紅斑部を経時的に生検し, Thyー1.2,Lytー1,Lytー2,抗Ia,ATPase等で染色した. その結果, 加令とともに, 真皮浸潤細胞中のT細胞の割合が多くなり, 特にhelper T細胞が優勢となることが分った. また, 表皮内ランゲルハンス細胞は病変の初期と思われる病巣辺縁部で増加し, 病巣中央部では, かえって減少することが分った. 3.Xanthine oxidaseとhypoxanthineを混合して活性酸素を産生せしめ, これをモルモットに注射することによって紅斑を惹起し得た. この際, 皮膚SOD活性をモルモットの年令との関連において測定してみると, 紅斑惹起前にはほとんど差異がないのに対して, 紅斑惹起後には, 老化マスウ程, それが低下していることが分った. 4.ヒト紅斑症のモデルとしてアルサス反応を選び, invitroにおいてヒスタミン分解酵素であるhistamineーNーmethyltransferase(HMT)活性に対し, 阻害効果を示すセロトニン, ドーパミン, トリプタミン, チラミンの皮膚内定量を行った. その結果, セロトニンのみが, 実際に増加していること, その増加とHMTの減少とが経時的に対応すること, また, セロトニンの主要分解酵素であるMAO活性を測定することによって, セロトニンの増加が, 主として血小板に由来することが分った. 5.紅斑症の電顕, 免疫電顕的研究は主として, 昭和63年度に行う予定である.
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