1989 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト由来腫瘍細胞スフェロイドにおける放射線と薬剤の併用効果
Project/Area Number |
62480241
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
森田 和夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20045347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 敦 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70168863)
晴山 雅人 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10173098)
久保 喜平 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40117619)
小祝 聡一郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90045336)
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Keywords | デアザアデノシン / X線損傷修復 / 潜在的致死損傷 / リン酸化 / 多細胞スフェロイド / 骨肉種 / HPLC / ヌクレオチド プ-ル |
Research Abstract |
腫瘍細胞スフェロイド(多細胞球体)系は優れたin vitro腫瘍モデルであることが知られているが、本研究は骨肉種細胞スフェロイドを用いてアデノシンのデアザ誘導体の放射線増強作用について検討することを目的として行われた。放射線による潜在的致死損傷の修復(PLDR)阻害作用を検討のするためにスフェロイドの増殖曲線を用いることは出来ないので、プラト-期のスフェロイド実験系を開発した。Yuhasらの方法により骨肉種細胞スフェロイドを形成後、1週間培養を続けた後、低酸素細胞を含まない直径200〜300μmのものを選択し、X線照射した。照射直後または6時間後にトリプシン処理により単細胞浮遊液を作製し、コロニ-形成能を調べた。6時間後に移植した場合ではPLDRの結果生存率の有意の増加を認めた。形成2日後のスフェロイドではこのようなPLDRは起こらなかった。20μMの1ーデアザアデノシン(C^1ーAdo)存在下ではこの修復の抑制が観察された。完成なX線損傷の修復に要する時間およびC^1ーAdoの至適濃度については現在検討中である。 デアザアデノシンによるX線PLDR阻害作用の機序を解明する目的で、C^1ーAdoおよび7ーデアザアデノシン(C^7ーAdo)のDNAへの取込の有無について検討した。まず対数増殖期にあるHeLa細胞を50μMのC^1ーAdoおよびC^7ーAdoで6時間処理後、DNAを抽出した。その後、DNAをヌクレア-ゼP1ーアルカリフォスファタ-ゼ処理によりヌクレオシドに分解した。除タンパク質後の試料を逆相高速液体クロマトグラフ法にて分析した。C^1ーAdoはアデノシンの近傍に溶出されるため、試料の一部をアデノシンデアミナ-ゼ処理後に分析した。他に報告されているようにC^7ーAdoは取込が認められたが、C^1ーAdoはそのDNAへのいかなる有意の取込も認められなかった。C^1ーAdoによるPLDR抑制機序の解明の為には、さらに正常ATPプ-ルの低下、RNAへの取込の有無等が検討されなければならないと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kubo K.et al.: "Establishment of Cell Lines from Human Osteosarcoma" Proc.Japan Acad.64B. 233-236 (1988)
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[Publications] 大久保整 久保喜平: "デアザアデノシンによるX線潜在的致死損傷修復阻害の作用機序に関する研究" 札幌医学雑誌. 59. 13-24 (1990)
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[Publications] Kubo,K.et al.: "The Effects of Deazaderivatives of Adenosine on the Repair of the Potentially Lethal Damage in XーIrradiated HeLa Cells"