1988 Fiscal Year Annual Research Report
クロイツフェルト・ヤコブ病の発症因子と発症機序の解明
Project/Area Number |
62480246
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Research Institution | KITASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
玉井 洋一 北里大学, 医学部, 教授 (80050441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和生 北里大学, 医学部, 助手 (40189030)
三浦 貞則 北里大学, 医学部, 教授 (70050383)
大谷 義夫 北里大学, 医学部, 講師 (40095500)
田口 文章 北里大学, 衛生学部, 教授 (40050455)
小嶋 久子 北里大学, 医学部, 講師 (90118810)
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Keywords | クロイツフェルト・ヤコブ病 / 発症因子 / ガングリオシド / 亜急性硬化性全脳炎 |
Research Abstract |
1.発症因子の部分精製実験:我々は先にCJDマウス脳の亜細胞分画実験より、感染能がミクロリーム膜画分に高濃度に分布することを見出したので、当核画分を可溶化、再分画を行って発症因子の部分精製を試みた。CJDマウス脳より調整したミクロリーム画分を10%サルコシル処理し、22000_<xg>遠心、同上清を215,000_<xg>遠心した沈渣をさらに10%Nacl存在下で再遠心をくり返した。この過程で得られた沈渣画分と上清画分について、感染力価の測定を行っている。一部の画分について発症を認めているが、現時点では未だ結論は得られていない。 2.ヒトCJD脳におけるガングリオシド変化と発症機序との関係:我々は先に、ヒトCJD脳のガングリオシド構成成分に異常が存在することを見出したが、これをさらに確認するため亜急性硬化性全脳炎(SSPE)成人例(26歳)の脳ガングリオシドについてその構成成分を分析してCJDとの異同について検索した。ガングリオシド含有量は組織学的変化の少ない大脳皮質と被殻で減少し、グリオーシスの顕著な白質と脳梁で増加していた。ガングリオシドの2次元TLCの結果、GD_3、GD_2、の増加がいずれの部位でも観察されたが、GM_1、GDla、GDlbは被殻を除く部位で減少していた。ガングリオシド長鎖塩基組成の変化は脳梁においてのみ顕著で、他の部位では著しい変化は認められず、GD_3とGD_2の増加や病理組織像の知見とも対応していなかった。以上の結果から、SSPEとCJDはそれぞれ独自のガングリオシド変化を示していることが明らかとなり、CJDにおけるガングリオシドと病態との関係が強く示唆された。 3.CJDマウスの脾臓細胞とマウスミエローマのハイブリドーマを作製する実験を開始した。現在増殖中であり、実験の成否については結論は得られていない。
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[Publications] 大谷義夫、玉井洋一: 精神神経学雑誌. 90. 1-19 (1988)
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[Publications] Tamai.Y,;Taguchi.F,;Miura.S.: Annals of Neurology. 24. 466-467 (1988)
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[Publications] Tamai.Y,;Kojima.H.;Ohtani,Y.;Uchida,K.;Tagugh,F.;etal.: Microbiology and Immunology. 33. 35-42 (1989)
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[Publications] Kida,Y.;Takayama-Abek.;Tamai,Y.;Yoshikawa Y.;Yamanouchi,K.;: Neurochemistry International.(1989)