1988 Fiscal Year Annual Research Report
肥満症の新概念ー内臓脂肪蓄積型肥満の成因と代謝異常発症機序の研究
Project/Area Number |
62480255
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松沢 佑次 大阪大学, 医学部, 講師 (70116101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 俊治 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
藤岡 滋典 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40218988)
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Keywords | 内臓脂肪蓄積型肥満 / 皮下脂肪蓄積型肥満 / VMH破壊ラット / 腸間膜脂肪preadipocyte / 門脈血遊離脂肪酸 / 脂肪分布 |
Research Abstract |
近年肥満に伴う合併症の重症度や合併頻度は必ずしも脂肪組織の絶対量肥満度とは相関せず、脂肪組織の分布状態と関連することが知られてきた。我々は独自に開発したCTスキャンによる脂肪量測定法を用いて肥満者の脂肪分布を分析することにより、肥満を耐糖能低下、高脂血症など合併症を伴いやすい内臓脂肪蓄積型肥満と、合併症が比較的少ない皮下脂肪蓄積型肥満という新しい概念に基づいて分類することが肥満症の病態解析に有用であることを示してきた。本研究では、さらに非肥満者においても同様の分析を行い、腹腔内の内臓脂肪の蓄積がII型糖尿病や高脂血症の発症と関連することを見出した。またVMH破壊肥満ラットを作製し、内臓脂肪として腸間膜脂肪と代謝因子との関係を検討すると、腸間膜脂肪重量/体重比と血糖、中性脂肪値の間に有意な相関が認められ、ヒトと同様に実験肥満動物においても内臓脂肪蓄積と糖及び脂質代謝異常との関連性を明らかにした。また腸間膜脂肪重量/体重比と門脈血遊離脂肪酸(FFA)との間にも相関がみられ、門脈血FFAの上昇が肝におけるインスリン抵抗性や脂質合成の亢進を惹起することが考えられたが、FFA上昇の機作として腸間膜脂肪細胞は皮下脂肪細胞に比しイソプロテレノール刺激による脂肪分解能が亢進していることを見出した。内臓脂肪蓄積を生じる機序の検討としては、食事性因子として、高蔗糖食がVMHラットの腸間膜脂肪細胞容積を増大させ腸間膜脂肪重量/体重比を増加させること、またこれは二糖類分解酵素阻害剤により抑制されることを明らかにした。さらにpreadipocyteの培養による研究において、腸間膜脂肪細胞は皮下脂肪細胞に比し細胞増殖能及び分化能が低いことが見出され、脂肪組織増殖に際し、むしろ成熟脂肪細胞の増大が重要である可能性が確認された。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] 松沢佑次: 日本医師会雑誌. 100. 918-923 (1988)
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[Publications] 徳永勝人,松沢佑次 他: 日本肥満学会記録. 8. 98-99 (1988)
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[Publications] 藤岡滋典,松沢佑次 他: 日本肥満学会記録. 8. 325-326 (1988)
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[Publications] 川本俊治,松沢佑次 他: 日本肥満学会記録. 8. 66-68 (1988)
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[Publications] 毛野義明,松沢佑次 他: 日本肥満学会記録. 8. 107-108 (1988)
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[Publications] Takashi Kobatake: International Journal of Obesity. 13. (1989)
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[Publications] 松沢佑次: 日本肥満学会記録. 9. (1989)
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[Publications] 中島忠久: 日本肥満学会記録. 9. (1989)
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[Publications] 藤岡滋典: 日本肥満学会記録. 9. (1989)
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[Publications] 川本俊治: 日本肥満学会記録. 9. (1989)
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[Publications] 毛野義明: 日本肥満学会記録. 9. (1989)
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[Publications] Seiichiro Tarui: "Diet and Obesity(Comparison of pathophysiology between subcutaneous-type and visceral-type obesity)" Japan Sci.Soc.Press, 10 (1988)
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[Publications] 徳永勝人,松沢佑次 他: "糖尿病動物2(視床下部性肥満モデル(PVNラットとVMHラット)における糖代謝)" 医薬ジャーナル社, 6 (1988)
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[Publications] Shigenori Fujioka.: "Obesity in Europe I(Comparison of a novel classification of obesity(visceral fat obesity and subcutaneous fat obesity)with previous classifications of obesity concerning body feat" John Libbey, 5 (1989)