1988 Fiscal Year Annual Research Report
樹立ヒト巨核芽球株を用いた自己増殖および巨核球系細胞分化にかかわる遺伝子の解析
Project/Area Number |
62480261
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Research Institution | Nagoya University School of Medicine |
Principal Investigator |
大野 竜三 名古屋大学, 医学部, 講師 (70093002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 光音 名古屋大学, 医学部, 医員
小椋 美知則 名古屋大学, 医学部, 医員 (40231229)
森島 泰雄 名古屋大学, 医学部, 助手 (20220056)
斎藤 英彦 名古屋大学, 医学部, 教授 (20153819)
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Keywords | 骨髄巨核芽球細胞株 / 骨髄巨核球 / MEG-01 / 細胞培養株 / がん遺伝子 / 分化 / phorbol esters;TPA,分化誘導 / c-myc / c-fos / c-sis |
Research Abstract |
昭和62年度にひきつづき、巨核芽球系細胞の分化機構を蛋白・遺伝子レベルで解析することを目的とし、分化能を有する培養細胞株MEG-01細胞を用いて、計画調書の実験予定に沿って実験を行い、以下の如き研究成果を得た。(1)種々の分化誘導物質によりMEG-10細胞をin vitroで処理後、継時的に回収した細胞よりpoly A^+RNAを調整し、各種オンコジーンプローブで調べた結果、TPA(フォルボールエステル)10^<-8>M処理後30分から4時間でc-mycの発現の消退を、処理後24〜48時間以降にc-sisの出現を、また処理後1時間にてc-fosの一過性の出現を認めた。この内、c-myc,c-fosの発現変化は、更にslot blotを用いた定量化実験に於いても確認された。c-sisの発現は認められたものの極めて微量であり、有意な血小板由来分化因子(PDGF)の上昇には至っていないことが、bioassayにて証明された。(2)c-myc遺伝子のTPAによる発現抑制の機構を更に詳しく解析するため、先づ、既知のc-myc遺伝子5'側の3箇所のDNaseI感受性部位につきTPA処理群と無処理群でそれぞれnucleic DNAを調整しDNaseI10分間処理して検討した所、処理群に於いてEcoRI切断により得られる高感受性部位が特異的に消失していた。(3)MEG-01細胞のc-myc遺伝子には、他の系列細胞とは異なる遺伝子部位に抑制性蛋白がTPA処理により結合し、転写レベルでの増幅制御を行っていることが明らかとなった。また、他の細胞系列(HL-60、U-937)で認められるc-mycの発現の分化に伴う低下はTPA処理後24時間には、c-mycレベルは回復していた。このことは、Bリンパ球で見られるのと同様に、巨核芽球系細胞に於いては、細胞分化にもc-mycが関与していることを示唆している。
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Research Products
(2 results)