Research Abstract |
T細胞活性化機構のうち, インターロイキン1(ILー1)の作用機構を中心に検討した. まず, ILー1によりILー2受容体(Tac抗原)の発現増強が認められるYT細胞を用いて, ILー1α,ILー1βを加えた時の, 細胞内Caイオン濃度の変化をQuin2法により調べたが, 有意のCaイオン濃度の上昇は認められなかった. ILー1添加後のアラキドン酸(AA)カスケード代謝産物のうち, リポキシゲナーゼ系代謝産物, LTB.ナ_<4.ニ>,5ーHETE,12ーHETE,15ーHETEの変化をHPLCにて解析したが, 有意な産物の上昇は認められなかった. また, 細胞膜のPC,PE,よりのAAへの切り出して対するILー1の影響を調べたが, phospholipaseA.ナ_<2.ニ>によるAA産生増加を示すデータは得られなかった. 次に, T細胞活性化に関連する抗原に対するモノクロナル抗体の作製を試みたところ, ILー1受容体に対する抗体の作製には成功しなかったが, 活性化関連抗原に対する2種の興味ある抗体が得られた. 2H7抗体による認識される抗原は, リンパ球頻回激による活性化後期に出現し, この抗原を発現している長期培養株では, 2H7抗原とTac抗原発現の間に相関を認めた. また, 2H7抗体はILー2による増殖を抑制することから, 細胞増殖関連抗原を認識していると考えられた. 臨床的には, 膠原病の一部の症例で抗原陽性細胞が末梢血中に検出された. 2C2抗体は, 正常リンパ球をPHAで刺激後1〜2日後に出現する分子量的16,000の抗原を認識し, 特に, ATL患者白血病細胞と高率に(10例中9例)反応した. しかし, ConA刺激によるリンパ球の増殖反応には, 2C2抗体は影響を与えない. T細胞の活性化, 増殖関連抗原を認識する以上2種の抗体は, 今後のT細胞活性化, 増殖機構の研究に有用であろう.
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