1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62480266
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
加藤 哲夫 秋田大学, 医学部, 助教授 (20004963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 裕顕 秋田大学, 医学部, 助手 (90182807)
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Keywords | 小児 / 手術侵襲 / 生体反応 / 視床下部 / 下垂体系ホルモン / 精神発達 |
Research Abstract |
今年度は1)、新生児・乳児手術時の視床下部・下垂体系ホルモン動態、2)、新生児期手術例の学童期の精神発達状況、について検討した。 1)、視床下部・下垂体系ホルモン動態:新生児3例、乳児8例について、術前および術後1週間、採血と採尿を行い、血中CRF、ACTH、GRF、GH、β-Endorplin(β-EP)、Cortisol、尿中urinastatin(US)を測定した。(1)CRF、ACTH、Cortisolはいずれも以後1〜2日に最高値をとり、以後低下した。手術侵襲スコア(SSS)とはCortisolのみ相関した。(2)GRF、GHはいずれも術後1日に最高値をとり、以後低下した。SSSとはGHのみ相関した。(3)β-EPは術後1日に最高値をとり、以後低下した。ACTHとほぼ同様の推移を示した。SSSとは相関しなかった。(4)USは術後2日に最高値をとり、以後低下した。SSSと相関を認めた。以上より新生児・乳児の手術の際も侵襲刺激がまず視床下部に達し、CRF・ACTH(β-EP)・Cortisol・US系とGRF、GH系が順次賦活されることが示唆された。 2)、精神運動発達検査:新生児期に初回手術を受け6才7月〜10才5月に達した39名について、津守式発達検査、WISC-R検査、Bender Gestalt Test(BGT)を施行した。(1)津守式発達検査では精神発達指数(DQ)とSSSとは負の相関を示した。(2)WISC-Rでは、IQ、言語性IQ(VIQ)、運動性IQ(PIQ)ともSSSと負の相関を示した。V<P例はV>P例よりも多かった。(3)BGTでは、検査値とSSSの間に相関はなかった。しかしKoppitzの偏差値で1以上が39例中13例(39%)と多かった。 以上より、新生児期以降の度重になる手術侵襲は患児の精神運動発達に影響する可能性が示唆され、特に言語性IQの低下傾向が著しいと思われた。またBGTで示された如く、視覚運動統合機能の未熟例が多いのも特徴的と考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 加藤哲夫 他: 小児外科. 19. 351-361 (1987)
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[Publications] 加藤哲夫 他: 小児外科. 19. 705-711 (1987)
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[Publications] 加藤哲夫 他: 日本小児外科学会雑誌. 25. (1989)