1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト食道癌の悪性度評価に関する研究-特に遺伝子、遺伝子産物の検索
Project/Area Number |
62480278
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西平 哲郎 東北大学, 医学部, 講師 (50101142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 清人 東北大学, 医学部, 助手 (10187338)
北村 道彦 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (10153131)
大熊 恒郎 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (50160453)
秋元 実 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (50167847)
田口 喜雄 東北大学, 医学部, 助教授 (70004885)
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Keywords | 食道癌 / 癌遺伝子 / 遺伝子増幅・発現 / EGFR / erb-B2 / hst |
Research Abstract |
本年度は食道癌の生物学的特性を探るため、分子生物学的な手法を用いて食道癌における種々の遺伝子あるいは遺伝子産物の発現についての研究を行ってきた。まず本学第1医化学教室の協力により組織からのDNA.RNAの抽出、SouthernおよびNorthern法を行うことが可能となった。東大医科研山本らとの共同研究により、食道癌においてはEGFR、erb-B2の遺伝子増幅は比較的低頻度(<10%)ではあるが存在することが示された。これは扁平上皮癌でのerb-B2の増幅が示された最初の例であること、増殖因子のシグナリングと癌の増殖との関係を結びつける上で興味ある知見である。さらに広島大津田らとの共同研究により、食道癌ではFGF superfamilyに属すると考えられるhst遺伝子が高頻度に増幅していることが明らかとなった。以上をもとに当教室で行われたSouthern法により以下の結果を得た。 1.hstは食道癌において高頻度(40%)に増幅している。 2.erb-B2の増幅している症例ではhstも同時に増幅している。以上よりそこに共通するgenetic eventの存在が予想された。しかし同時に行ったNorthern法によれば 3.erb-B2の増幅している症例ではそのmRNAもまた発現が増大している。 4.hstのmRNAの増加はいずれの症例でも見られなかった。以上より、hstの増幅は転写に結びつかないもので食道癌の癌化の過程で高頻度に起こってくること、erb-B2の増幅・発現増大も低頻度ではあるが食道癌で認められることが結論された。 これらoncogeneの増幅・発現と患者の予後との関係が興味を持たれる点であるが、現在解析中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Toshitaka,Tsuda: Jon.J.Cancr Res.(GANN). 79. 584-588 (1988)
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[Publications] 志賀清人: 日本外科学会雑誌 臨床増刊. 90. 398 (1989)